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切り花の廃棄ロス防ぐ!漬けて長持ちプラズマ栄養水生成装置

 シンフォニアテクノロジーは豊橋技術科学大学と共同で、バラなどの切り花を漬けて長持ちさせるプラズマ栄養水生成装置を開発した。水道水を原料に使って、一般的な延命剤と同等以上の効果を実現したという。切り花が輸送時などに傷み、廃棄されるロスを防げる。2020年度に発売し、価格は約100万円を目指す。数年後に年間500台の販売を目指す。

 共同開発したプラズマ栄養水生成装置は、7キロ―10キロボルトの高圧放電で水道水から硝酸水を作る。1時間で濃度100―200ppm(ppmは100万分の1)の硝酸水を1リットル製造する能力がある。生成した硝酸水を希釈し、バラや菊などの鮮度保持に利用する。

シンフォニアテクノロジーが豊橋技術科学大学と共同開発したプラズマ栄養水生成装置

 切り花の給水と、内部の水分が大気へ発散する蒸散のバランスを保つことで、日持ちを向上させる。延命だけでなく、植物の発根や成長にも効果を発揮するという。

 省エネルギー性能も重視し、消費電力は100ワット超。同装置に搭載する放電プラグを新たに開発し、さびにくく溶融しにくい工夫を施した。外形寸法は横600ミリ×奥行き500ミリ×高さ700ミリメートル。重量は約40キログラム。今後は農業協同組合(JA)などと実証実験を進める方針。

 現在はさらに放電プラグ数を減らした小型品を開発中。価格も大幅な低減を目指す。製品ラインアップを広げ、JAの花き出荷センターから花屋まで幅広く展開する戦略。

 シンフォニアテクノロジーは、豊橋技科大とオゾンガスを用いて花きの鮮度を維持するオゾン処理装置や、植物の生育に必要な光を手軽に計測できる光量子計、切り花自動搬送台車なども共同開発する。農業の生産効率向上につながる新規事業の育成に力を入れている。
日刊工業新聞2019年10月14日

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