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共闘も競争も…5G基地局の整備、視界は良好?

携帯3社、計画前倒し
 携帯大手3社が2022年度末までに各1万局以上の第5世代通信(5G)基地局の整備を完了する見通しとなった。既存基地局の活用やキャリア同士が手を組むことで、事前の計画より前倒しで整備を進める事業者も出てきた。総務省も携帯各社へ支援策を講じ早期整備を後押しする。(取材・大城蕗子)

最多の5万3626局


 KDDIは21年度までに5G基地局を1万622局、23年度末までに約5万3626局を設置する。同社によるとこれは携帯4社で最も多い設置数。同社は既存基地局の活用や海外の基地局ベンダーを採用し、低コストで早期の整備を実現する。ソフトバンクは、総務省に示した計画より2年早い22年度末までに、約1万1200局の5G基地局の整備を完了する計画だ。

 効率的な基地局整備に向け、大手キャリア同士が手を組むケースも出ている。KDDIとソフトバンクは地方での5G基地局整備で連携し、実証実験を今秋に始める。両社が保有する基地局資産を相互利用し、5Gの工期の短縮やコスト削減にもつなげる狙いだ。

9カ月前倒し


 NTTドコモは20年6月末までに全ての都道府県に5G基地局を設置する。当初は21年3月末までを期限としていたが、約9カ月前倒しする。さらに1年後の21年6月末までに全国1万局へ設置。そして24年度末に2万6334局を設置する計画だ。吉沢和弘社長は「(2万6334局は)確実に実現できる最低限の数。より多くの人に5Gの世界を体験してもらうため前倒しを予定している」と強調。さらなる繰り上げに自信を見せる。

 各社の基地局整備を支援するため総務省も助け舟を出す。総務省は23年度末の5G基地局数を、携帯4社の計画値より2割以上多い8万4000局超にする目標だ。実現に向け補助金制度を20年度の予算案概算要求に盛り込む。

基幹インフラ


 5GはIoT(モノのインターネット)化や産業・工場のスマート化、超スマート社会「ソサエティー5・0」実現のカギとも期待される基幹インフラ。いち早くサービスを提供し優位に立とうと、各社の前倒し競争は今後も続きそうだ。
日刊工業新聞2019年10月9日

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