日産の新社長になぜ内田氏が選ばれた?

連合の連携強化に適任

社長兼CEOに就任する内田誠専務執行役員

日刊工業新聞電子版2019年10月8日  日産自動車は8日、内田誠専務執行役員(53)が社長兼最高経営責任者(CEO)に就任するトップ人事案を決定した。また最高執行責任者(COO)には三菱自動車のアシュワニ・グプタCOO(49)が就く人事案も決めた。2020年1月1日付の発令を目指す。  日産自動車は同日に開いた取締役会で、報酬不正問題で日産の社長兼CEOを辞任した西川広人氏の後任案を決めた。現在、日産は山内康裕COOが暫定社長兼CEOを務めている。  内田氏はルノーとの共同事業などにも関わり、中国事業もけん引してきた。連合の連携強化に適任と判断。グプタ氏は、社外からの目線で日産の改革に取り組む観点から人選したとみられる。 日刊工業新聞2019年9月11日の記事から抜粋  日産は足元で二つの重大課題を抱える。一つは業績回復。米国や欧州、新興国事業の不振で2020年3月期の連結当期利益は2期連続の大幅減益になる見込み。建て直すため、22年度までに1万2500人の人員削減などのリストラ策をベースに電気自動車(EV)など次世代製品を軸とした成長戦略を組み合わせた改革を進める。  二つ目はルノーとの関係再構築だ。ルノー優位の出資比率の見直しを含め議論を始めた。日産は「できるだけ平等な出資比率に再調整したい。急がず対処する」(幹部)との姿勢で交渉に臨む。一方、ルノーは早期決着を求めているとされ、今後、議論が加速する可能性がある。  こうした重大局面で、まずは代行の社長兼CEOとして山内康裕最高執行責任者(COO)が16日付でバトンを引き継ぐ。その後、指名委が後任トップを10月末に選定する計画。指名委委員長の豊田正和氏は基準について「今は成長期ではなく回復期。車産業に詳しく、ルノーと三菱自動車との企業連合に深い理解と大きな関心を持つ人」と説明した。  すでに候補者を約10人に絞り込んだ。日産勤務経験者やルノー出身者、女性や外国人もいるという。部品サプライヤー幹部からは「IT化などで車業界では新しい発想が必要になる。異業種からトップを招くのも一つの手だ」との声も挙がる。  日産社内からの候補者として、山内COOが代行から、そのまま引き継ぐ可能性はある。山内COOは購買畑が長い。「口数は少ないが、モノづくりへの理解が深い。コストカット要請は厳しいが、狙いなどを丁寧に説明する」(別のサプライヤー幹部)という。総じてサプライヤーからの信頼は厚い。またルノー取締役を兼務し企業連合に精通する。  関潤専務執行役員も注目株だ。中国事業トップなどを務め、5月に「パフォーマンスリカバリー担当」に就いた。事業の立て直しを担うポストで、業績回復を最優先する今の局面に合う。同担当の前は仏駐在で企業連合の事業を担当しルノーとのパイプもある。また日商岩井(現双日)出身で現在、中国事業を率いる内田誠専務執行役員も有力視される。  日産は指名委等設置会社に移行する際の役員人事でルノーの介入を許した。今回のトップ人事でも同様の事態に陥る懸念がある。また人選の時間的な制約も大きい。業績回復、ルノーとの関係改善を加速できるかは、日産の経営の行方を左右する。難しい局面でも最適な人物を選び出しスムーズにバトンを渡せるか、新体制の力が試される局面が続く。

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