林業の課題解決は異業種とのオープンイノベーションで!

造林の課題を解決する新規ビジネスのアイデアを語り合う参加者

 新しい林業ビジネスを創出する林野庁のプログラム「サステナブル・フォレスト・アクション」が始まった。伐採後に木を植える「造林」が抱える課題を解決するビジネスアイデアを異業種と林業関係者が一緒に考え、事業化を目指す。造林は林業を持続可能にする重要な作業でありながら長年、課題が山積する分野。異業種連携によるオープンイノベーションの試みによって解決策を見いだす。  東京・六本木で9月28日、プログラムのキックオフイベントが開かれた。告知を見て応募した参加者は約50人。所属はNTT東日本、大建工業、国土防災技術(東京都港区)、NSD、ベンチャーのADDIX(東京都千代田区)、宮崎県森林組合連合会など多彩だ。事前に募集したビジネスアイデア別に10チームを結成。どのチームも林業経験者と異業種との混成だ。  初顔合わせとなったこの日のイベントは、米シリコンバレーで確立された新規事業創出手法「リーンスタートアップ」を学ぶ講義から開始。その後、チームに分かれて新規事業創出を疑似体験する作業に取り組んだ。  林野庁とともにプログラムを主催するビジネス・エンジニアリング・センター(東京都中央区)の中間康介理事は「林業はすごくもうかるわけではないが、リーンスタートアップに向いている」と説明する。参加者からは「計画が変更になっても構わないのか」と質問が出るなど、会場は意欲にあふれていた。  29日は西日本から参加者を対象に京都でもキックオフイベントを開催。今後、各チームはチャットツールなどを使ってメンバーと議論し、林業や事業創出の専門家の助言をもらってアイデアを磨く。11月には合宿とアイデアの中間発表会を開く。12月7日、企業や投資家の前でビジネスプランを発表し、事業化に必要な資金獲得を目指す。  造林は手間のかかる作業が多い。木の苗は人の手で植えるため、危険な斜面や炎天下での作業が強いられる。せっかく植えても雨で流されたり、鹿が食べたりする。  定期的な除草も必要だ。森林管理業の百森(岡山県西粟倉村)の中井照太郞社長は「雨の後の見回り、道や側溝の清掃といった名もなき作業が多い」と苦労を明かす。また、造林はコストも高い。林野庁によると造林関連費用が、伐採した丸太の販売で得た収入を食いつぶしてしてしまう。  日本の山には戦後に植えられ伐採の適齢期を迎えた樹木が多い。林野庁の長崎屋圭太整備課長は「木材需要は増えるが、木を植えないと次世代のための木が育たない。再造林がなければ資源の略奪だ」と危機感を募らせる。木がない山は保水力が落ちて土砂災害の危険が増す。造林は緊急性の高い課題だ。  そこで林野庁は異業種の技術や人材を呼び込み、造林の課題を解決するイノベーションを起こそうとプログラムを計画した。海外にも造林の課題を解決する有効策はなく、「ブルーオーシャン(競争相手のいない未開拓の市場)を手に入れられる」(長崎屋課長)と参加者を激励した。

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