AI・LINE駆使して判定、病院が「床ずれケア対策アプリ」開発

「床ずれ診断くん」を無償で提供

病変画像を基に「今すぐ加療:96・5%」などと表示する(イメージ)

 大植病院(兵庫県朝来市)の中村洪一医師は、在宅で寝たきりの高齢者や病人の床ずれケア対策として、皮膚病変の画像を送ると人工知能(AI)で分析し、医師への相談などの措置を促すスマートフォンアプリケーション(応用ソフト)を開発した。家族などの介護者が皮膚病変の写真をスマホで撮影し、対話型アプリ「LINE」で送ると、AIが処置の緊急度合いなどを判定し、結果を自動でLINEメッセージで返信する。  開発したアプリ「床ずれ診断くん」は無償で提供する。今後、クラウドファンディングなども計画。システムの能力を増強して、より多くの事例を学習し「高齢者や家族介護者のためにより精度の高いAIに昇華させたい」(中村医師)という。  開発に当たり、床ずれの画像に対して「今すぐ加療(治療すること)」と「医師に相談」の2分類でタグ付けして、AIに学習させた。これに基づく判定結果は、緊急度合いを示すパーセンテージ付きの分かりやすいメッセージでLINEのトーク画面に表示できるようにした。  既存の医療向けAIシステムは、医療・介護従事者の業務を手助けすることに重点が置かれている。これに対し床ずれ診断くんは、在宅の家族介護者が手軽に利用できるようにした。皮膚病変の画像から床ずれの処置の判断をAIが自動判定するのは初めてという。  床ずれは寝たきりとなり、皮膚への外圧が一定時間持続すると生じる。医療用語では「褥瘡(じょくそう)」と呼ばれる。厚生労働省が打ち出した在宅での医療・介護の推進施策により、在宅高齢者の“褥瘡ケア”への対応が問われている。  具体的には、在宅で介護する家族介護者の多くは皮膚病変を発見してもすぐに対応できず、結果的に重篤化し、治癒までの期間が長くなる場合がある。  また、床ずれはさまざまな要因が組み合わさり、病態は日々変化する。「1人の医療・介護従事者が生涯経験できる褥瘡の症例数には限度があり、多くの症例を学習できるAIシステムの開発に至った」(同)という。

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