「Y」から「Z」へ…新生ヤフーの成長のカギは?

Zホールディングス始動

 ヤフーが1日付で持ち株会社制に移行し、社名を「Zホールディングス(HD)」に変更する。同HDの傘下にネット広告や電子商取引(EC)事業を担うヤフー、金融系子会社の経営管理を担う中間持ち株会社を置く。ZOZO買収によるEC事業の強化、フィンテック(金融とITの融合)、データ分析事業の育成で経営の柱をネット広告の1本から4本に増やし、総合データ基盤企業への成長を目指す。(文=編集委員・水嶋真人)  「2022年度までを構造変革期間に位置付け、23年度の営業利益を2250億円(18年度は1405億円)と過去最高益にする」―。川辺健太郎社長はZHDの中期目標をこう説明する。  目標達成に向けた課題は、ヤフーグループのサービス利用者数とEC取扱高の拡大だ。そのために「ヤフージャパンの各サービスを通じたオンライン上の生活だけでなく、オフラインの生活も便利にする」(川辺社長)。この第1弾が18年10月に始めたスマートフォン決済サービス「ペイペイ」だった。  「ヤフーニュース」「ヤフーショッピング」などのオンラインと、「ペイペイ」というオフラインの二つの事業から得られるデータの活用でネット広告、EC、フィンテック、データ分析という4本柱を育てる狙いだ。  ヤフーIDとペイペイIDの連携で、例えばヤフーで配信したクーポンを使いペイペイで支払えば消費者は安く商品を購入できる。ヤフーは自社サービスの利用者増につなげ、店舗は利用者分析データを基にした正確なマーケティングが可能になる。前沢友作氏が自ら創業したZOZOの今後をヤフーに託したのも、「データの会社となる」(川辺社長)ヤフーの成長戦略を信じたからこそだった。  10月中にはヤフーの検索サイトなどから得た特定キーワードの関連語や時系列推移、性別・年代などの詳細情報を商品開発に生かせるサービス「データフォレスト」の提供を始める。  すでに三越伊勢丹とは、「ヤフー検索」の検索キーワードや「ヤフー知恵袋」の質問書き込みを人工知能(AI)で解析し、子育て中の女性の服装に関する悩みを抽出。子育て中の小柄な女性向けのロングスカートを開発した。  西武鉄道とは、「ヤフー乗換案内」などで蓄積した路線検索履歴のビッグデータ(大量データ)をAIで解析し、駅ごとの混雑パターンを推定。西武鉄道の駅別・時間帯別の降車人数データを掛け合わせることで、より高精度な混雑予測を実現している。ヤフーと利用企業双方が持つデータ、利用企業同士のデータを融合した商品開発も見込む。  携帯電話大手のNTTドコモやKDDIは、スマホを介したあらゆるサービスを自社グループ内で提供する“デジタル経済圏”を拡充している。ソフトバンク傘下であるヤフーも“経済圏”の拡充に向け4本柱を機動的に運営できるZHDを設立。携帯事業を始めた楽天も含めたデジタル経済圏争いがより激しさを増す。その勝敗の結果が23年ごろには判明しそうだ。

続きを読む

関連する記事はこちら

特集