追加出資でグループ入りも…「車作りでトヨタ化はしない」(スバル社長)

経営基盤を盤石に

スバルの中村知美社長(左)とトヨタの豊田章男社長

 トヨタ自動車を軸とする国内車業界の陣営づくりが鮮明になってきた。トヨタは先週末、SUBARU(スバル)の出資比率を16・83%から20%以上に引き上げ、持ち分法適用会社にすると発表。スバルも新たにトヨタ株を取得する。8月のスズキとの資本提携から、矢継ぎ早に提携戦略を打ち出したトヨタ。背景には新潮流のCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)がある。次世代技術の覇権争いが激しさを増す中、経営基盤を盤石にする。  トヨタはスバルへの出資比率を20%以上に引き上げ、持ち分法適用会社にする。27日の株価で計算すると、トヨタの出資額は750億円程度となる。ナカニシ自動車産業リサーチの中西孝樹代表は「出資比率の引き上げで経営面や財務面をしっかり管理できる」と指摘。スバルの損益の一部がトヨタの決算に反映され、名実ともにトヨタの傘下に入る。  半面、スバルもトヨタの追加出資額と同額相当を出資し、両社の対等な関係を前面に押し出す格好となった。トヨタ幹部も「株を持ったからといって、トヨタ色に染めるわけではない」と強調する。  トヨタは国内で、出資を伴う陣営づくりを加速している。出資先を含めた総販売台数は年1600万台規模となり、資本関係を結ぶことで機動的な投資や研究開発につなげる。CASE分野でも提携を世界的な基盤構築の足がかりにする考えだ。スバルとの関係強化により両社の重要市場である北米での存在感を一層高めるほか、スズキとは同社が強いインドで自動運転分野などを深耕する。  CASEはITを巧みに操る米グーグルなど巨大企業や有力ベンチャーとの競合が避けられず、1社単独では対抗しきれない。トヨタの豊田章男社長もかねて「CASE分野では仲間づくりがキーワード。互いの強みを認め合い、協調することが重要」と話してきた。  トヨタは今回の提携でコネクテッドカー(つながる車)や自動運転分野での連携を深めつつ、スバルへのハイブリッド車(HV)システムの供給を拡大する。両社は6月に電気自動車専用プラットフォーム(車台)の共同開発でも合意していた。豊田社長は「CASE時代にふさわしい『もっといいクルマづくり』の可能性を追求したい」考えだ。  スバルはトヨタとのアライアンスを強化し、CASE領域の開発や生産を効率化する。スバルは100年に一度の変革期とされるCASEの時代にあって、本来得意としてきた個性ある車作りができる環境を整える構えだ。  スバルは2005年に米ゼネラル・モーターズ(GM)の提携を解消後、トヨタと新たに業務提携を締結。商品開発や生産、販売で協業を進め14年に及ぶアライアンスの歴史を積み重ねてきた。今回の業務資本提携を通じ、特に1社単独での開発が難しい自動運転や電動化、コネクテッド領域の協調と技術連携を強める。  さらに両社の技術を持ち寄った全輪駆動(AWD)モデルや共同開発してきた後輪駆動(FR)小型スポーツカー「TOYOTA86(ハチロク)」「SUBARU BRZ」の次期モデルの開発を進める。  スバルの中村知美社長は日刊工業新聞社などの取材に応じた。主なやりとりは以下の通り。  ―持ち分法適用会社となる意味は。  「これまでの16・8%は中途半端な関係だった。現場では関連会社でないため、互いに手の内を明かさないこともあった。両社の垣根を越える必要がある。我々の技術だけではできないことが今後できるようになる」  ―個性は維持されますか。  「AWDといったスバルの虎の子の技術をトヨタに渡すのかという指摘もある。それでトヨタのAWDがよくなれば、我々はもっとよいAWDを作ればいい。さらにコアなファンである“スバリスト”を含め、顧客を裏切らない。車作りでトヨタ化はしない」  ―共同購買などは。  「水平対向エンジンの縦置きは、自分たちでやらないと駄目な領域。これまでの車部品で共同購買が進むという話では一切ない。モノづくりの思想や文化が違う。センサーやデバイスなど新しい領域ならば一緒にやっていくということだ」 (取材=名古屋編集委員・長塚崇寛、松崎裕)

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