なぜ県立大がレーザービーム型の国産3Dプリンターを導入したの?

兵庫県立大学・山崎徹センター長に聞く

レーザービーム型3Dプリンター(右が山崎センター長)

 兵庫県立大学は4月、姫路工学キャンパス(兵庫県姫路市)に「金属新素材研究センター」を開設した。金属3Dプリンターや合金を作製する高周波溶解炉などの設備を導入し、産学官連携による共同研究を推進する。金属積層造形技術は、欧米に比べて後発の日本だが、新たな素材開発や適用事例の増加に期待がかかる。兵庫県立大学副学長の山崎徹センター長に展望を聞いた。  ―設備の概要は。  「金属3Dプリンターは、電子ビーム型とレーザービーム型を導入した。チタンや銅など高融点、高熱伝導の金属に対応する電子ビーム型は、次世代3D積層造形技術総合開発機構(TRAFAM)のプロジェクトメンバーである多田電機(兵庫県尼崎市)が開発した国産初号機を設置した。レーザービーム型は松浦機械製作所(福井市)製でステンレス鋼やアルミニウムなど幅広い金属に対応する」  ―国産機導入の狙いは。  「素材や加工、用途の開発を進めるためだ。電子ビーム型は米国製が主流だが、使用する金属粉末や加工条件が制限されている。保守は海外の専門技術者に依頼する必要もあった。国産機は研究開発の自由度が高まる。例えば、銅のように通常は電子ビーム型を用いる金属素材も、別の素材を添加することで、より扱いやすいレーザービーム型が使える。保守も国内で完結するためコストを低減できる」  ―利用促進は。  「中小製造業や、既に金属3Dプリンターを保有する大企業から活用依頼が約20件寄せられている。利用料金は主に原料費のみで、機械の使用料は課さない。今夏発足の産学官が技術向上や人材育成で連携するコンソーシアムを通じ、情報共有や利用講習を行い、1年後には成果発表会も予定する」  ―今後の課題は。  「電子ビーム型は活用ノウハウが蓄積されておらず、素材開発や積層技術を確立するまで試行錯誤が続くだろう。造形品は航空機や医療機器の部品として適用が見込まれるが、強度など安全性の検証も必要だ。企業間の協力を促し、全体として技術向上を目指す」 (聞き手=神戸総局・中野恵美子) <関連記事>

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