関西の産業構造を変える“インバウンド”の威力

外国人戦力、人手不足解消へ

インバウンドでにぎわう道頓堀(大阪市中央区)

 関西の産業構造が変わり始めた。背景にあるのがインバウンド(訪日外国人)の増加。りそな総合研究所によると、2018年の関西のサービス4分類の雇用は09年比で68万人増と、製造業の盛んな東海を26万人上回った。飲食や宿泊、物販などで雇用を増やし、東海と西日本からの人口転入も続いている。荒木秀之主席研究員は「関西の成長持続には集客の新たな魅力と、深刻な人手不足の解決がともに欠かせない」と指摘する。(文=大阪・田井茂)  18年の関西のインバウンドは推定1229万人で全国の3119万人の約40%を占める。リーマン・ショック翌年の09年と比べ、関西の18年の雇用は卸売り・小売り、宿泊・飲食、教育・学習、医療・福祉のサービス4分類で68万人増加した。逆に製造業は1万人減った。荒木主席研究員は「政府による訪日外国人拡大政策の波に乗りサービス業の存在を高めた」と分析する。  分かりやすいのは、関西と並ぶ経済圏の東海(岐阜県、静岡県、愛知県、三重県)との比較。東海はサービス4分類で42万人増と関西を下回り、製造業は3万人増にとどまった。関西は特にインバウンドや高齢者ビジネスの参入が増え、労働集約型のサービス業で雇用を増大させた。一方、東海の産業は依然自動車をはじめ製造業が中心。製造業の海外流出は止まらず国内も省人化が進み、雇用の吸引力は低下した。  関西の雇用力をさらに裏付けるデータもある。人口の転出数から転入数を引いた転出超過数は18年、関西が東海を下回った。両地域とも首都圏への転出が多いため転入超過数はマイナス。しかし、関西が東海より人口流出が少なかったのは、東日本大震災後の「関西シフト」が続いていた12年以来となる。ここ数年で関西は中国、四国、九州の西日本と東海から転入が増え、東海は九州や関西から転入が減っている。  ただ、雇用だけでは比較できない。東海と北陸3県を合わせた中部は15年度、第二次産業と第三次産業を合わせた名目域内総生産(GRP)を12年度比で5兆8000億円伸ばした。関西は4兆3000億円で、付加価値の高い東海の製造業に水をあけられた。リーマン・ショックまでの好況期をけん引した関西の電機産業は、その力を失っている。  荒木主席研究員は「関西には国際的な会議や展示場のような次の受け皿が必要。人手不足なので女性や高齢者に頼るだけでは限界もある。外国人の戦力化と、製造やサービスの自動化技術もカギを握る」と説く。

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