地域金融の勢力図変わる…証券と相次ぐ提携の行方

事業モデル刷新、待ったなし

野村証券は山陰合同銀行と提携した(野村証券日本橋本社)

 証券会社と地方銀行の提携が相次いでいる。野村証券と山陰合同銀行は金融商品仲介での包括提携に合意した。SBI証券を傘下に持つSBIホールディングス(HD)は、島根銀行の第三者割当増資を11月末に引き受け、25億円を出資する。証券会社が苦境に陥る地銀の立て直しを支える背景には、両者ともビジネスモデルの見直しに迫られていることがある。証券と地銀が接近し、地域金融の勢力図が変わる可能性もある。(文=孝志勇輔)  野村証券が鳥取、島根の両県に店舗網を持つ山陰合同銀行、同行子会社のごうぎん証券と提携に基本合意した。野村が金融商品の販売や顧客対応などを同行に委託する。野村の社員が同行に出向し商品の詳しい情報やノウハウを提供する。また会社分割により、同行とごうぎん証券が持つ証券関連の顧客口座を野村が引き継ぐ。  野村HDは構造改革の一環で都市部の店舗を集約する一方、地方の店舗網は維持する方針を示している。事業承継などの案件を取り込むためにも、地場企業の情報を豊富に持つ地銀との提携は外せない選択肢だ。  SBIHDはSBI証券が30以上の地銀などと金融商品の仲介で提携してきたが島根銀行への直接的な出資に踏み切る。SBIグループが持つ金融商品を同行の顧客に提供するのに加え、フィンテック(金融とITの融合)を活用して営業費用も抑制する。2020年3月期当期損益が赤字に転落する見込みの同行を立て直すことができれば、SBIHDが主導する地銀連合が生まれる可能性がある。  超低金利による利ざやの縮小などで地銀は本業の収益が悪化しているほか、大和総研の森駿介研究員は「投資信託に注力しているものの成果に結びついていない」と指摘する。こうした預かり資産を増やして収益性の向上につなげる戦略は証券各社にも共通する。地銀、証券ともにビジネスモデルの刷新が課題で、地銀の顧客基盤と証券が持つ投信販売などのノウハウを相互活用する効果は小さくない。  証券業界では東海東京フィナンシャル・ホールディングスも地銀と提携して証券会社を設立しており、十六銀行と出資する十六TT証券(岐阜市)が6月に開業した。地域に根付くことを重視し金融商品の需要を取り込む。  補完関係の構築に動きだす証券と地銀が今後も増えることが予想される。証券が地銀の勢力圏に入り込むことで、地銀の競争軸も変わりそうだ。

続きを読む

関連する記事はこちら

特集