工場閉鎖、金融支援…曙ブレーキの再建は可能か

事業再生計画は工場閉鎖など生産体制の規模縮小が柱

信元会長兼社長ら代表権を持つ取締役3人の引責辞任が発表された

 曙ブレーキ工業の再建が本格的に動きだす。米国事業の不振で資金繰りが悪化、私的整理の一種である事業再生ADR(裁判以外の紛争解決)を申請してから8カ月。事業再生ファンドからの出資を取り付け、日米欧6工場の閉鎖・売却などの事業再生計画や、560億円の債権放棄を含む金融支援について取引金融機関から承認も得た。27日の臨時株主総会などを経て新経営陣を迎え、再建に向けたステージへと踏み出す。(文=山岸渉)  「自動車業界は徹底的に変わらなくてはいけない。新しい考え方でやることは良いことだと思う」。18日、曙ブレーキ幹部は事業再生計画が決まったことを前向きに捉える。  事業再生計画は工場閉鎖など生産体制の規模縮小が柱だ。経営不振の引き金になった米国は2020年度までに2カ所を閉鎖するなど最終的に1工場体制にする。日本では21年度までにドラムブレーキなどを生産する曙ブレーキ山陽製造(岡山県総社市)を閉鎖、曙ブレーキ福島製造(福島県桑折町)は生産を縮小。欧州も2工場を売却するか閉める。  6工場のうち米国の1工場を除き従業員は計約2000人を抱えている。工場の閉鎖などに伴う従業員の削減は未定だが、米国は大幅な削減が想定される。日本では人員の配置転換などの対応も検討している。  一方で、収益を上げているアジア拠点を有効活用する。日本で手がけていたドラムブレーキなどの生産をインドネシアの工場に移管し、コスト競争力の強化を狙う模様だ。  事業の効率化とともに財務基盤も整備する。事業再生ファンドのジャパン・インダストリアル・ソリューションズ(JIS)に優先株を発行し、200億円を調達する。取引金融機関37行が有利子負債の約半分にあたる560億円の債権放棄にも同意した。  自動車業界はCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)という新潮流が台頭し、曙ブレーキが主力とするブレーキ製品も、自動運転や電動化の対応が必須だ。その開発コストを捻出する意味でも生産規模の縮小や財務基盤の強化は欠かせない。まずJISから出資分の約50億円は次世代製品の研究開発などに充てる考えだ。  27日には臨時株主総会を開催、新たな取締役の人事案などを諮る。JISの出資が実施される30日には、信元久隆会長兼社長は引責辞任し、ボッシュの執行役員を務めた宮地康弘氏を新社長に迎え新たな経営体制が始動する。  幹部は「自動車や鉄道を含め日本のインフラを支えている会社なのできちんと再生しなくてはいけない」と力を込める。ブレーキ大手だけに再建がままならないと産業界に悪影響を与えかねない。着実な再建が求められている。

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