政府が姿勢を強める根拠に基づく施策形成「EBPM」で大学の評価は可能か

「定性的な評価も活用すべきだ」の声も

 事業活動の成果を、重要業績評価指標(KPI)などの数値のエビデンス(証拠)で示し、それを根拠に政策を形成する「EBPM(確かな根拠に基づく政策立案)」が政府の姿勢として強まっている。しかし定型的業務ではない研究で、特に基礎分野が多い大学にはなじみにくい。全国33の大学・機関で構成する「研究大学コンソーシアム」が大学幹部向けに開いたセミナー「EBPMを活用した大学の研究力強化」では、「専門家同士が研究評価をするピアレビューや、アンケートなど定性的な評価も活用すべきだ」との声が挙がった。(編集委員・山本佳世子)  EBPMについて内閣府は2018年度に「政策の企画立案は(事例などに頼るのではなく)目的を明確にし、効果の測定に重要な関連を持つ情報やデータ(エビデンス)に基づくものとする」と示している。国の予算配分が合理的であれば、国民の理解も高まるという期待がある。  国立大学の評価と運営費交付金の傾斜配分が始まったのもその一つだ。しかし研究と教育の指標は簡単には結論が出ない。文部科学省の研究大学強化促進事業を土台とするコンソーシアム(共同研究体)が、セミナーで議論を誘導した。  まとめ役である自然科学研究機構の小泉周特任教授は、研究という山を「頂を示すトップ10%論文」「麓の安定性を見る論文数や著者数」などで説明。「各エビデンスの限界を知った上で、複数を組み合わせる必要がある」と指摘した。  PHP研究所PHP総研の亀井善太郎主席研究員は、同事業が文科省初のEBPM事業となり、目指す姿に向けて体系的な道筋を設定する「ロジックモデル」を導入した経緯を説明した。各大学の特色に基づく組織運営で「これらを経営層と現場の“コミュニケーションツール”にすべきだ」と強調した。  議論では「論文数や引用数の競争が科学を悪くしている」「取りやすいデータの収集に走っている」などの批判が出た。一方で「EBPMで組織構成員の共感が得られる」「アドバイザリー会議や対面による定性的な評価を組み合わせればよい」と、前向きな提案もなされた。

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