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電動化時代にエンジン部品の研究開発を強化するデンソー

本社内に新棟、エンジン車の需要底堅く
電動化時代にエンジン部品の研究開発を強化するデンソー

クリーン排気システム(デンソー公式サイトより)

 デンソーは愛知県刈谷市の本社敷地内に、自動車エンジン部品などの研究開発棟を新設する。既存施設が老朽化しており、建て替えによる最新設備の導入などで開発能力を高める。投資額は数十億円規模とみられ、2020年2月の完成を計画する。デンソーはCASE(コネクテッド、自動運転、シェアリング、電動化)という新分野に力を入れるが、エンジン車の需要も当面続くとみている。次世代、既存技術の両にらみで開発体制を強化する。

 新設する「パワエレ&エレフィ開発センター(仮称)」は、敷地面積が1万2700平方メートル、延べ床面積が約2万平方メートルの3階建て。人員は350人程度となる見込み。

 デンソーは電気自動車(EV)など電動車の市場は急拡大が見込まれるものの、エンジン車の需要もハイブリッド車(HV)を含め底堅く推移するとみている。

 デンソーは吸排気や燃料噴射、点火、発電、冷却などのエンジン部品を手がけている。新棟では開発部品を搭載したエンジンを実際に動かし、性能や耐久性を評価する実験を主に手がける。コンピューター利用解析(CAE)などデジタルエンジニアリングの活用も加速し、開発力を高める。

 デンソーは5月、エンジン関連部品を手がける愛三工業の出資比率を現在の3・8%から約38%に引き上げ、持ち分法適用関連会社にすると発表。燃料ポンプなど一部の重複事業を愛三工業に譲渡することも検討している。

 エンジン部品の開発力を拡充するとともに、事業の構造改革で収益力を盤石にする。
日刊工業新聞2019年9月16日

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