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ジャパンディスプレイが工場「無期限休止」、存廃は1年後めどに判断

新型iPhone向けの発注量、当初の期待より少なく
ジャパンディスプレイが工場「無期限休止」、存廃は1年後めどに判断

白山工場(石川県白山市)

 ジャパンディスプレイ(JDI)は白山工場(石川県白山市)の操業休止期間を当初計画の9月までから無期限で延長する。月末までに同工場の存廃を判断するとしていたが、当面は閉鎖しない。ただ、計800億円の金融支援を予定する中国企業連合の意向次第で資本注入後に方針を転換する可能性はある。

 JDIは7―9月の予定で中小型液晶パネルを生産する白山工場の稼働を停止している。主要顧客の米アップルのスマートフォン「iPhone(アイフォーン)」の販売減速により工場の稼働が落ち込み、固定費の抑制を迫られた。

 アップルが20日に発売する新型アイフォーン向けの発注量が当初の期待より少なく、茂原工場(千葉県茂原市)で賄えるため白山工場の休止延長を決めたもよう。9月末までの人員削減で同工場の固定費を減らせる見通しが立ったことなども一因。今回の延長では新たな期限を設けないが、1年後をめどに同工場の存廃をあらためて判断するとみられる。

 ただ、JDIへ出資を予定する中国ファンド大手のハーベストグループ中心の企業連合「Suwaコンソーシアム」の意向は現時点で不明。JDIの経営権取得後に、同工場の閉鎖や売却へかじを切る可能性は残る。

 アップルは2020年にもアイフォーンの主力機種すべてに有機ELパネルを採用するとの観測があり、JDIの経営環境は依然厳しい。米国・中国当局などの審査が通って中国企業連合の出資が計画通り完了するかを含め、経営再建の行方は予断を許さない。

日刊工業新聞2019年9月13日

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