「ローカル5G」市場の公正競争、NTT東西の参入が焦点に

総務省、4社から聞き取り

NTTは5Gを用いて農業用トラクターを自動運転する実証実験を10月に北海道岩見沢市で始める

 総務省は11日、次世代通信規格「第5世代通信(5G)」を地域限定で利用するローカル(自営)5Gで公正な競争環境を実現するため、通信大手4社からヒアリングした。議題の中心は、NTT東西地域会社(NTT東日本とNTT西日本)の参入の可否。NTT東西の参入を認めてほしいNTTと、反対するKDDI、ソフトバンクの間で激しい議論が交わされた。(文=編集委員・水嶋真人)  すでに総務省の報告書では、携帯大手にローカル5G帯域の免許を付与するべきでないと提言している。一方、携帯事業者ではないNTT東西がローカル5Gに参入したい意向を示したことに対し、KDDIやソフトバンクなど複数の事業者から公正競争上の影響を懸念する意見が出ていた。  NTTは、ローカル5Gを用いてトラクターや飛行ロボット(ドローン)を自動運転して農作業の負担を軽減するなど、NTT東西の参入が地域の社会課題解決につながると指摘。ローカル5G網利用者が携帯大手の全国通信網とローミング可能になる見込みだが、「NTT東西は法令を順守し、携帯大手との関係で不当に差別的な取り扱いを行うことはない」と強調した。  KDDIは固定回線の顧客基盤や全国の支店網など圧倒的な優位性を持つNTT東西が参入した場合、ローカル5G市場を早期に席巻し「ケーブルテレビ事業者など地域の企業の参入排除になりかねない」と危惧する。  また、NTT東西がローカル5Gの補完サービスとして携帯大手の全国通信網とローミング可能になると、実質的な全国モバイルサービス事業者になると指摘。「NTT東西とNTTドコモの連携は禁止行為事業者同士の連携となり、公正な競争環境に、さらに大きな悪影響が懸念される」とした。ソフトバンクも旧日本電信電話公社時代からの土地・建物を利用したサービス提供など「非常に優位な立場となる」と反対した。  ただ、有識者からはローカル5Gの想定用途が携帯大手の5Gサービスの用途と大差がなく「ローカル5Gの具体的なニーズを把握するべきだ」との意見が出た。NTTも「ローカル5Gの市場が拡大する確証がない中、先回りして規制をするのはいかがなものか」と反論する。ローカル5G市場の拡大が見込めなければ新規参入事業者も増えないだけに、まずはローカル5Gだからこそ可能なサービスの具体的な事例を示す必要がある。

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