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卓球ラケットのラバー製造一筋50年

東京・荒川区のマイスターが語る「下町ラケット」の技術の秘けつとは
卓球ラケットのラバー製造一筋50年

「勝負に関わる仕事だから責任が大きい」と語る村田社長

 ミツホゴム工業(東京都荒川区)は、卓球ラケットのラバーを製造している。社長の村田さん(73)は、娘の和美さんと二人三脚で年間12万枚を製作し、ロンドン五輪・女子卓球で銀メダリストとなった福原愛選手のラバーも手がけた。「勝負に関わる仕事だから責任が大きい」と、2012年度に認定された「荒川マイスター」のプライドをみせる。

 卓球ラバーは生ゴムに6種類の薬品を配合する。その調合の仕方で球の飛び方に影響が及ぶ。ラバーに使用するサイズの長方形にカットしたゴムを金型で押さえ、50キログラムの圧力を加えながら約10分間加熱する。このときの焼き上がりによって、製品の出来上がりの成否が分かれる。

 「温度調節は計算上は160度Cだが、日々変わる」と村田さん。計算上の温度できっちり計って10分間加熱しても、不良品ができてしまうことがある。さらに、冬は温度調整がしやすいが、夏は難しいという。この日も175度Cの高温で成形した。「同じ素材で作っても、翌日には同じ温度で作れない」。こつは「自転車に乗れるようになるのと同じだ」と話す。

 卓球ラバーには赤と黒の2色がある。45年前に東京・田端の機械工場で調べてもらった結果、熱吸収力の違いで弾性の違いがあることも分かったという。

 村田さんは23歳の時にラバー製造と出会い、50年間仕事を続けてきた。下町の職人らしく「仕事は10割が運、1割が努力」と独特の言い回しで表現する。娘の和美さんは、その意味を「努力を何倍も重ねて、極めたときにチャンスはやってくる」と“翻訳”する。若い人に向けて、村田さんは「根気よく続けること」と一言に込めている。
(文=茂木朝日)
日刊工業新聞2015年09月02日 機械・ロボット・航空機面
斉藤陽一
斉藤陽一 Saito Yoichi 編集局第一産業部 デスク
選手の努力はもちろんですが、こうした道具の技術の下支えもあって、卓球日本の復活は成し遂げられたのでしょう。

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