カーエレ各社の成長左右!?、車室内の音響高度化競う

座席ごと音源、内装材振動

アルプスアルパインは小型高性能スピーカーを開発し、レイアウトフリーの音響空間づくりを進める

 カーエレクトロニクス各社は車室内の音響技術の開発に力を入れている。従来のスピーカーとは異なる小型スピーカーを投入し、制限の大きかったスピーカーのレイアウトに自由度を持たせている。各座席ごとに音の指向性を高めた音響環境を提供する。より臨場感のある音楽を耳元で個別に楽しめるほか、運転手にガイダンスやアラート、運行情報の提供などができ、音響技術が運転の快適性を高める。(文=松崎裕)  アルプスアルパインは従来よりも4割程度軽量化した約140グラムの直径40ミリメートルの小型高性能スピーカーを開発し、レイアウトフリーの音響づくりを進める。従来のように決められた場所だけでなく天井にもスピーカーを配置できる。座席ごとに配置し音響の指向性を高めるほか、デジタル信号処理を駆使した高品質の次世代ヘッドレストスピーカーの開発などにつなげる。藁谷清二技術本部サウンド設計部長は「座席ごとに音源が楽しめるパーソナルゾーンサウンドの提供を目指す」と強調する。  さらにスピーカーの専門企業である伊ファイタルを子会社化し、音響事業を拡大する。これまで外部の協力企業とスピーカーを共同開発してきたが、今後は開発から生産、サービスまで一貫したマネジメント体制を構築し、欧州市場を中心にグローバル市場での提案を強化する。  仏フォルシアの一部門「フォルシアクラリオンエレクトロニクス(FCE)」は、音響技術と内装全般の空間づくりを急ぐ。内装部材を振動させて音を再生するエキサイターの開発に力を入れる。  従来型のスピーカーを使わず、表皮を振動または反響させ音を出すため、ドアパネルやダッシュボードなど内装材を振動させて音を再生する。さらにフォルシアのシート技術と組み合わせることで、音と振動を組み合わせた音響体感や振動によるアラートで運転手の安全性を高めることも可能だ。  木村敏也R&Dバイス・プレジデントは「フォルシアと組むことで付加価値を付けた音響空間を提供できる」とグループのシナジー創出につなげる構え。  パイオニアは音響技術を統合的に提案できる強みを生かし、自動車メーカーと車載音響機器を共同開発するOEM(相手先ブランド)生産事業に力を入れる。トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」の新型セダン「ES」には車載音響技術「プレミアムサウンドシステム」が採用され、高音質ながらスピーカーといった音響機器の小型化を両立させた。  「通常は高音質の空間を作るためにはスピーカーの厚みが必要。音と効率性を実現した」(広報)として高度な音づくりに貢献し採用実績を増やしている。  自動運転が普及するほど車室の快適性が重視される。各社は長年培ってきたカーナビなどの従来の技術だけでなく、音響技術を伸ばすことで、総合的な車室空間づくりを提案し、新たな成長軌道を描く。

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