プラごみ削減にむけた企業連携の裏にイノベーションあり

多様な顔ぶれ、実効的な対策に挑む

AEPWが日本で初開催した会合後の記者会見で語る米P&Gのヘリアス氏

 海洋プラスチックごみ削減へ向けた企業連携が活発化している。実効性ある対策には、プラスチック製造に関わる素材メーカーだけでなく、利用企業が業界の垣根や国境を越えて知恵を絞る必要があるからだ。  7月下旬、プラスチックごみ問題に対処する国際的な枠組み「Alliance to End Plastic Waste」(AEPW)の会合が都内で開催された。米プロクター・アンド・ギャンブル(P&G)、米ダウ、独BASFが中心となって設立したもので、日本からは三菱ケミカルホールディングス(HD)、三井化学、住友化学の大手化学3社が参加する。同日は企業関係者や有識者ら500人近くが参加した。  この枠組みに参加する40社は5年間で合計15億ドルを出資し、廃棄物管理のインフラ整備やリサイクルしやすい製品開発やその普及、さらには海洋や河川でのごみ回収などの浄化活動に取り組む構想を打ち出している。P&Gの環境社会部門責任者であるヴァージニー・ヘリアス副社長は「使用済みプラスチックの価値を最大化するためイノベーションが重要」と指摘。その上で「日本は使用済みプラスチックを再び樹脂として再利用する技術力がある」として、日本企業のさらなる参加拡大を求めた。  三菱ケミカルホールディングスの越智仁社長は「アジアにおけるプラスチックごみ問題が世界で最も深刻だと言われるなか、日本企業の貢献が重要だ」と語った。さらに住友化学の岩田圭一社長は「海洋プラスチックごみの問題は、特定の企業や産業の取り組みでは解決できない。それだけに、AEPWは画期的なアライアンスである」と国際的な連携の意義を強調。経済産業省資源循環経済課の横手広樹課長は「対策を進める上で重要なのは、経済活動への制約ではない。適切な回収などに取り組みつつ、イノベーションにつなげる姿勢」と、取り組みへの期待感を示した。  日本に目を転じれば、海洋プラスチックごみ問題に取り組む連携組織「クリーン・オーシャン・マテリアル・アライアンス(CLOMA)」が活動する。前述の三菱ケミカルHD、住友化学、三井化学のほか、花王、味の素、アサヒビールグループHD、サントリーHD、イオン、ソニーなど238社・団体が参加(7月時点)。会長は花王の澤田道隆社長が務める。  特徴は顔ぶれの多彩さである。大手メーカーだけでなく、リサイクルビジネスを手がける企業や中堅・中小企業も参加。業界横断的組織としての特徴を最大限発揮し、川上から川下まで、サプライチェーンが一丸となった実効的な対策に挑んでいる。  例えば、化学メーカーが、代替素材に関する最新の開発動向をユーザーである日用品や消費財メーカーと共有。早期の製品化につなげる。あるいは日用品メーカーが求める製品仕様を素材メーカー側にいち早く伝え、使い勝手のよいパッケージ開発につなげるといった取り組みを進めている。  もとより、こうした連携推進の原動力となるのは、企業独自のイノベーションである。花王が目下開発中なのは、フィルム形状の容器「エアインフィルムボトル」。プラスチックを成型した従来のボトルと異なり、平べったい薄型のプラスチックフィルムと空気で作るのが特徴で、フィルムのふちの部分をぐるりと囲うように空気を入れて、浮き輪のように膨らまし、その内側に液体のシャンプーなど充填する構造。ボトルと同じように立てておくことができ、使用後は、空気が入った部分をカットすれば再び平たくなるのでゴミがかさばらない。使用後のボトルは再生プラスチックとして100%活用を目指している。  サントリーHDは2030年までに世界で使用する飲料用ペットボトルについて、すべての原料にリサイクル素材か植物由来の素材のみを使用し、新たな化石由来原料の使用をゼロにする方針を明らかにした。グループ企業が事業展開する国や地域において、それぞれの実情に応じた効率的な資源循環のシステムを構築。実現へ向けては、政府機関や関係業界、環境NGOやNPOなど多様な主体との連携を進める構えだ。  資源枯渇から企業を守り、新たなビジネスチャンスと革新的な生産方法や消費スタイルを通じて、産業競争力につなげるサーキュラー・エコノミーの発想。これを具現化する動きはますます広がりそうだ。

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