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工場集中型からハブ拠点分散型へ、キリンビバ「物流改革」の一大決意

トラック輸送費高騰や災害対策待ったなし
工場集中型からハブ拠点分散型へ、キリンビバ「物流改革」の一大決意

エリアごとの消費地近郊にハブ拠点となる物流倉庫を設ける

 キリンビバレッジは工場集中型の物流体制からハブ拠点を経由する分散型の体制「キリンゲートウェイ」の構築を進める。物流の効率化や安定供給を強化する目的で、エリアごとの消費地近郊にハブ拠点となる物流倉庫を設ける。3月に近畿圏に、5月に中部圏に拠点を相次いで開設した。さらに首都圏に2020年に開設する計画。必要に応じて拠点網拡充を検討する。18年の西日本豪雨災害やトラック輸送費高騰などを背景に、物流の効率化を進める。

 キリンビバレッジは国内に自社の湘南工場、滋賀工場とグループ製造拠点2工場の4工場のほか、北海道や九州など各地の製造委託先と連携した生産体制を持つ。これまで物流は工場に大型拠点を併設する工場集中型を採っていた。トラック輸送の効率化のほか、災害時のリスク分散を踏まえ、ハブ拠点網による分散型物流網の構築を急ぐ。

 そこで製造委託先のある北海道や九州を除いて、国内の消費地近郊に拠点の整備を開始。近畿圏には兵庫県尼崎市に3月に物流倉庫を開設。中部圏では愛知県小牧市に拠点を5月に設けた。さらに首都圏向けにも20年に新拠点を建設する。詳しい場所は明らかにしていない。消費地の必要性を考慮してさらなる拠点拡充を検討する。

 ハブ拠点を構えることで、トラック車両に余裕のある閑散期に各工場の在庫を消費地近郊に転送する。繁忙期には各エリア内の輸送や届け先への配送に特化する体制を整えることができ、輸送の効率化や強化を実現できる。これに併せて、6月から「中1日配送」をスタート。注文の翌々日に発注元に届けることにより、物流会社が計画を立てやすくなるほか、作業拠点での待機時間削減に役立つとしている。

<関連情報>
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日刊工業新聞2019年7月12日

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