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韓国「ホワイト国」で最後の攻防、除外でも日本企業への影響は限定的

日本政府は今日、閣議決定へ
 日米韓の外相会談が2日、タイ・バンコクで開催される。日本が貿易管理上の優遇措置「ホワイト国」から韓国を除外する動きについて、韓国はあらためて撤回を求めるとみられる。一方の日本は安全保障において必要な措置と主張する見通し。米国は日韓の対立が東アジアの安全保障を損なうと判断し“一時休戦”を提案するもようだが、日韓の溝は深く、沈静化する可能性は低い。

 会談には河野太郎外相、康京和外相、ポンペオ国務長官が参加する。1日の日韓外相会談では韓国がホワイト国除外撤回を求め、日本は徴用工問題の国際法違反状態の是正を要求し、歩み寄りの動きは見られなかった。

 日本は2日にもホワイト国の除外を閣議決定する方針だ。韓国はこれに対抗し軍事情報包括保護協定(GSOMIA)の破棄をちらつかせ、安全保障の面から圧力をかけている。米国は協定の破棄が北朝鮮や中国を利することになると危惧し、仲介役としてホワイト国除外の棚上げを提案するもようだ。

《私はこう見る》大和総研エコノミスト・鈴木雄大郎氏


 韓国が輸出先として信頼する「ホワイト国」から除外されても、日本企業への影響は少ないとみている。輸出に必要な審査もそれほど滞りなく進むだろう。中国や台湾もホワイト国ではない。日本企業が韓国に輸出する上で、中国や台湾に取ってきた措置と同様の対応が求められる。韓国側が除外に対して、過度に反応している印象を受ける。日本政府による半導体材料の輸出管理も強化されているが、日本企業への影響は限定的だ。

【ホワイト国とは】


 政府が信頼できる輸出先だと認めた国。大量破壊兵器などの拡散を防ぐため、日本はリスト規制とキャッチオール規制の2段階で輸出を規制している。リスト規制では武器関連、大量破壊兵器・関連資材、通常兵器関連汎用品などについて経済産業相の許可が必要としている。リスト規制以外でも大量破壊兵器の開発、製造、使用につながる品目や技術などもキャッチオール規制によって経産相の許可が必要だが、ホワイト国はキャッチオール規制から外れ、手続きの簡略化などの優遇措置を受けられる。
日刊工業新聞2019年8月2日

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