企業ブランド失墜防ぐ、SNS“炎上”対策を狙う損保たち

各社がサービス提供を本格化

介護現場では利用者や家族から過大な要求などを受けることも多い(イメージ)

 会員制交流サイト(SNS)上の誹謗(ひぼう)中傷や消費者権利の高まりに伴うカスタマーハラスメントが相次いでいる。SNSは有効な商品販促などのツールである一方、新たなリスクの種にもなりかねない。損害保険各社は、こうしたリスクに対応できる商品・サービスの提供を本格化している。(文=増重直樹)  東京海上日動火災保険は、さまざまなリスクを包括的に補償する中小企業向け商品「超ビジネス保険」について、「弁護士費用等補償特約」を10月に改定する。これまで対人・対物に限定していた法律相談費用を「経済的被害」に範囲を拡大。実損のある明らかな被害以外でも業務妨害に抵触するおそれがあれば補償対象になる。  悪質なクレームを繰り返し受けたり、SNSで根拠のない悪評を書き込まれ拡散された場合などが該当する。自社従業員が不適切な動画をSNSで発信する“バイトテロ”などは第三者でないため対象外になる。  小売業やサービス業に限らず幅広い業種で加入可能。保険料は売上高1億円の飲食業の場合、年間約7500円。同特約は企業向け火災保険とセットでしか契約できなかったが、単独で契約できる商品にした。同社は「企業ブランドが失墜する事態から守ることができる」という。  MS&ADグループは苦情対応のコンサルティングサービスを実施している。中小事業者は新種リスクへの対応が不十分で後手に回るケースが多い。社会福祉法人や医療法人、販売業者を中心に引き合いが多く、年間約20件の利用がある。  苦情受付時の音声や映像を活用するリアルな講習を提供し、対応マニュアルの作成も支援する。苦情に適切に対処することによって顧客満足度(CS)向上にもつなげられる。  損保ジャパン日本興亜は18年4月、介護事業者向けに「クレーム対応費用保険」を業界に先駆けて発売した。補償とは別に、専門家への無料の相談窓口を提供しているのが特徴だ。中小の介護事業者は顧問弁護士と契約しているケースが少ないため、気軽に困りごとを相談できる。現在、全体で約1500事業所で採用されている。  個人のハラスメント被害を補償する保険もLINEを通じて販売している。「ハラスメントに対する議論が国内外で高まり、人格権を守るための保険ニーズが高い」(損保ジャパン日本興亜)。人手不足の中、従業員がクレーム対応で疲弊し退職することは企業にとっても大きな痛手。人財を守り事業継続の基盤を整える一助として損保が提供する商品・サービスが注目されそうだ。

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