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青果物の"呼吸"抑えてカビ防ぐ!鮮度保持フィルムの実力

食品ロスの削減へ
青果物の"呼吸"抑えてカビ防ぐ!鮮度保持フィルムの実力

フィルムにミクロサイズの穴を開けることでガス透過性を調整する「P−プラス」を、青果物向けに訴求している(評価CSセンターでの実験)

 住友ベークライトは青果物のかびの増殖を抑制できる鮮度保持フィルムを開発し、今冬をめどに発売する。フィルムの素材に防かび作用のある添加物を配合した。開発品はクラドスポリウムなどのかびに効果があった。イチゴやショウガなど幅広い青果物向けに、輸送や販売時の包装材としての導入を見込む。

 青果物の鮮度保持フィルム「P―プラス」に新たなタイプを追加し提供する。青果物は収穫された後も呼吸を続けているが、呼吸することで栄養分を消費し、しおれなどの劣化につながる。P―プラスはフィルムにミクロサイズの穴を開けることで気体の透過度を調整している。P―プラスを使った袋内を「低酸素、高二酸化炭素」の状況にし、青果物の呼吸を抑えて鮮度を保持する仕組み。枝豆やホウレンソウなど60品目向けに、月間で約5000万袋を出荷している。

 日本食品分析センターの測定では、ブロッコリーを12度Cで7日間保存した場合、ビタミンCの残存率が無包装のものは51%、P―プラスで包装したものは86%だった。鮮度を保持することで、食品ロスの削減につながるとしている。

 P―プラスは青果物の鮮度保持包装では7割のシェアを持つ。カット野菜の包材としての採用も増えている。

 袋内部の結露を防ぎ、見た目を良くするとともに青果物の腐敗や発芽を抑制できる商品も2015年に発売。フィルムの厚みなどを調整し、水蒸気の透過性を高めた。

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