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検査員確保へ業界奔走…防火設備の法定点検が始まった

防火設備メーカーが対応に追われる
検査員確保へ業界奔走…防火設備の法定点検が始まった

人手不足の中、検査員確保は難題(文化シヤッター)

 防火シャッターや防火扉など防火設備の法定点検が本格的に始まった。建築基準法改正に伴う経過措置が終了し、6月から年1回の定期点検と報告が義務づけられた。文化シヤッターや三和シヤッター工業、LIXIL鈴木シャッターなど防火設備メーカーは対応に追われている。既存シェア分の点検を目標に掲げるが、深刻な人手不足の中、検査員の確保や人材育成が課題だ。(文=高島里沙)

 防火シャッターの点検対象数は約140万台にのぼる。文化シヤッターでは3月末時点で23万台の点検を完了し、残り30万台の点検を進めている。文化シヤッターサービスの笹渕俊二取締役防火設備メンテナンス事業部長は「自社製品分の点検はとっていかなければならない」と話す。文化シヤッターはグループ全体で国家資格を持つ検査員の数を、この2年で約200人増員し、2000人近くまで引き上げた。点検台数は毎年増えるため、早期に2600人に近づけたい考えだ。

 三和シヤッター工業は経過措置の3年の間に人材を集めてきた。社員と協力会社を合わせた有資格者は前年比170人増の2271人(19年3月末)となり、21年3月までに2400人まで増やす計画だ。また全国からトップクラスの技術者を集めて能力を競うコンテストを開き、保守点検技能の向上を図っている。「最優秀者の作業工程を教育用として記録し、共有して技術の標準化を進める」(同社)としている。

 LIXIL鈴木シャッター(東京都豊島区)では、検査員は現状不足していないが、検査時期の標準化を進めて、点検集中時に備える。

 点検時はシャッター1台ごとに全開閉が必要だが、手動の巻き上げは大変な作業だ。多数の防火シャッターがある商業ビルでは、営業終了後の深夜に点検しなければならず、検査員らの働き方改革も課題に上る。

 文化シヤッターでは巻き上げなどを手伝う検査補助員を約250人確保。笹渕取締役は「有資格者より補助員を増やさなければいけない」と話す。LIXIL鈴木シャッターでは検査補助員については派遣社員での対応を検討中だ。
日刊工業新聞2019年7月26日

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