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【今週のリケジョ】“世界一の船”作りたい

川崎重工業・加藤麻由さん
 「進水式で巨大な船の建造に関わった社員がうれしそうに船を眺めている姿を見て、こんなふうに仕事をしてみたいと思いました」。川崎重工業の加藤麻由さん(32)は、船の推進性能を決める水面下の形状設計を担当する。「世界一性能の良い船の設計・開発に携わる」目標を胸に、今日も図面と向き合う。

船の魅力にすっかり圧倒


 もともとモノづくりに興味があり、理系の道を志したのはごく自然なことだと思います。高校では女子の4割程度が理系進学だったこともあり、理系を選択することに違和感はありませんでした。

 出身の神戸大学では工学部の中でも特色ある学部に進みたいと思い、船舶関連の工学を学べる海事科学部を選びました。1年生の時、練習船に1カ月乗船する機会があり、巨大な構造物が海に浮かびながら航行する技術力に驚いたことを思い出します。神戸大大学院に進学するころには船の魅力にすっかり圧倒され、船舶工学や流体関係の研究室に決めました。

 川崎重工業を就職先にしたのは、世界でも数社しかできない液化天然ガス(LNG)船や潜水艦などを建造する技術力が決め手でした。貨物艙(そう)や主機関、機器配置の制約を満たした上で、より良い推進性能を発揮できる船型の最適化に取り組んでいます。

 入社2年目から担当した超大型タンカー(VLCC)の設計では、契約前に設計条件が変更になり、タイトなスケジュールでの設計変更が必要に。先輩方のお力があり、なんとか契約にこぎ着けました。船舶が引き渡された際には大きな充実感がありました。

 2017年に1年間、当社の英国現地法人事務所に勤務しました。営業の技術サポートを担い、海外顧客の視点などを学びました。以後はリフレッシュも兼ねて、年に1度は海外旅行に出かけています。(文・写真=名古屋・長塚崇寛)
日刊工業新聞2019年7月22日

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