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日立製作所が物流倉庫のロボット化に乗り出した!

ピッキング用双腕ロボットや無人搬送車など関連技術が続々登場
日立製作所が物流倉庫のロボット化に乗り出した!

ピッキング用双腕ロボット

**連携作業を高速化
 日立製作所は25日、物流倉庫のピッキングを自動化する移動型双腕ロボットを開発したと発表した。倉庫の棚に配置された商品を2本の腕で器用に取り出して箱に入れる。制御技術を改良し、腕同士や走行台車など連携作業を高速化。従来7秒かかっていた取り出し作業を3秒に短縮した。3年をめどに自社物流部門で活用し、5年後の事業化を目指す。
 
 2本の6軸アームと昇降機、移動台車を組み合わせた。自分の位置や棚の位置関係を認識して商品に近づきピッキングする。手先のカメラで商品の正確な位置を測りながら移動するため、人間が商品を置いた位置に誤差があっても対応できる。

 アームや台車などの連携を1度の機器間通信で実現した。複数の機器が並行して稼働する。従来は随時、位置情報や測定結果を通信しており、計算に時間がかかっていた。重さ1キログラム、大きさ30センチメートル角以下の商品を扱う。箱やペットボトル、ビニール袋包装品などを扱えるという。通信販売などの多品種を扱う物流センターでの活用を狙う。


無人搬送車にも着手


 日立製作所は4日、物流倉庫などで商品を棚ごと搬送する「無人搬送車」を自律的に走行させる技術を開発したと発表した。センサーの情報をもとに自ら登録された商品棚などの配置図をリアルタイムに更新し、車の位置を認識。床面マーカーなどの走行ガイドを使わずに走行する。日立が販売する小型・低床式無人搬送車に同技術を適用し、実用化を目指す。

 無人搬送車へ事前に登録する配置図を、倉庫の壁や柱などの「動かない領域」と、商品棚などの「動く領域」に分けて管理する。この配置図と、距離センサーで計測した柱や商品棚の位置情報を照合し、車の位置を認識する。その後、動く領域にある商品棚の配置だけを更新する仕組み。

 これにより配置図を更新する時間を短縮し、その精度も向上。マーカーが不要になったことで敷設・保守コストが減り、走行経路や設備レイアウトの設計自由度も高まった。

 一般的な無人搬送車の利用環境である70メートル四方の建屋内で、1メートル四方の商品棚が搬送によって入れ替わる状況をコンピューター上で模擬した。その結果、平均誤差10ミリメートルで車の位置を認識できた。
 9月に東京電機大学で開かれる「第33回日本ロボット学会学術講演会」で発表する。
日刊工業新聞2015年08月26日 機械・ロボット・航空機面、08月05日 科学技術・大学面
政年佐貴惠
政年佐貴惠 Masatoshi Sakie 名古屋支社編集部 記者
建物の環境をロボットに合わせやすく、無人化のニーズが高い物流倉庫は今後もどんどんロボット化が進む分野だと見られる。日立の持つIoT関連の技術と組み合わせれば、倉庫丸ごとをソリューションとして提供することも可能で、強みが発揮できそう。

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