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マグネシウム合金を鋳造したクルマ用の車輪ホイール量産へ

戸畑製作所が軽量化ニーズ対応、22年からまず軽自動車から
マグネシウム合金を鋳造したクルマ用の車輪ホイール量産へ

(写真はイメージ)

 戸畑製作所(北九州市小倉南区、松本敏治社長)は、マグネシウム合金を鋳造した自動車用の車輪ホイールの量産に乗り出す。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)などとの産学連携で車両メーカーの軽量化ニーズに応える。小型成形機を使い、まず軽自動車向けに生産する。2022年に製品化、25年には約8万台分にあたる年間30万本超の量産を目指す。

 アルミダイカストで自動車部品を製造する戸畑ターレット工作所(北九州市小倉南区)と共同で、ダイカストマシンを利用した量産技術を確立する。自社のマグネシウム工場を年内に約200平方メートル増床、戸畑ターレットが保有する800トンクラスのダイカストマシンを移設する。

 工場内で素材を溶融して、成分調整から製造、リサイクルなどを同一敷地内で作業し、低価格化を実現する。表面処理など技術課題にも挑む。これによりアルミ品と比べて10倍近い価格のマグネシウム品を、アルミ品と同レベルで提供する。

 戸畑製作所が参画した日本マグネシウム協会自動車マグネシウム適用拡大委員会のプロジェクトでステアリングホイールを試作しており、そのノウハウを車輪ホイールに生かす。

 マグネシウムホイールは軽量だが加工が難しい。一般的な鉄やアルミニウムと比べて高額で、海外の高級車など一部を除き量販されていない。製造法も鍛造が多い。

 すでにNEDO「19年度戦略的省エネルギー技術革新プログラム」実用化開発に、「難燃性マグネシウム合金のダイカストによる自動車部材の量産プロセス技術開発」が採択されており、2年で約4億円を投じる。

 松本社長は「マグネシウムの技術開発に20年かけた。装置が小型のため当初は軽自動車だが、軌道に乗れば普通車も検討したい」と意気込む。

 事業にはほかに、グローバルマグネシウムコーポレーション(大分県別府市)、茨城県産業技術イノベーションセンター、山梨県産業技術センター、山梨大学、茨城県、山梨県が参画している。
ステアリングホイール試作品(右が開発合金、左が市販合金)
日刊工業新聞2019年6月17日

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