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来館者が増加中の「くすりミュージアム」、ゲームで学べること

第一三共が東京・日本橋で運営
来館者が増加中の「くすりミュージアム」、ゲームで学べること

薬の吸収→分布→代謝→排泄の流れを説明する「くすりの動き」コーナー

 東京・日本橋は大阪の道修(どしょう)町と並ぶ「薬の街」。その発祥は江戸時代、多くの薬種問屋が林立し、商売を営んでいたという。この地には、今でも国内有数の製薬会社が軒を連ね、散策すると、その名残を感じることができる。

 第一三共がお膝元の日本橋で運営する「Daiichi Sankyo くすりミュージアム」は薬について楽しみながら学ぶことができる施設だ。

 ミュージアムは大人から子どもまで、薬について楽しく学んでもらうことで、薬の大切さや創薬の重要性などを理解してもらうことを目的に、2012年に開設した。日本橋の文化施設として、街の活性化も担う。

 施設には工夫を凝らした模型や、大型スクリーンなどを用意。薬の種類や効能、体の中でどのように作用するのか、創薬の流れなどを総合的に学べる。

 さらに、がんに対する製薬会社の取り組みなども紹介する。効果と安全性の高い薬の創製を目指して、コンピューター上で、化合物をつくり出す「ドラッグ・デザイン」を体験できるゲームも人気を集める。

 中でも目玉の展示物は、「くすりの動き」と題した巨大な人体模型だ。摂取した薬が体内でどのような経路をたどり、どのように作用するのか視覚的に学べる。

 例えば口からのむ錠剤の場合、食道を通り、胃に運ばれ消化管から吸収される。その後、血液に入り肝臓を通して全身に運ばれる。薬のターゲットに届いて、効果を発揮した後は主に肝臓で分解。腎臓から排出され、尿とともに体の外に出る。この一連の流れを人体模型とモニター映像で分かりやすく解説する。

 来館者は、大人から学生、児童までさまざま。修学旅行や課外授業で訪れる学生も多く、週末や長期の休み中は特ににぎわうという。

 ここ数年の来館者は16年度は年間1万5000人、17年度は同2万2000人、18年度は最多の同2万4300人が訪れたという。外国人の団体客も多く、展示物は英語や中国語でも対応している。

【メモ】▽開館日=毎日(月曜日、年末年始など除く)▽開館時間=10時―18時▽入場料=無料▽最寄り駅=東京メトロ「三越前」駅(徒歩2分)▽住所=東京都中央区日本橋本町3の5の1▽電話番号=03・6225・1133

日刊工業新聞2019年6月21日

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