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【今週のリケジョ】まちづくり、企画から

阪急阪神不動産・樋口あずささん
 阪急阪神不動産の樋口あずささん(28)は、ホテルや商業施設の建設に携わる。工事の工程やコスト管理、事業者と施工者の間を取り持ちながら現場の進行を監督する。利用者目線に立って考えることを心がける。将来は「まちづくりや企画段階から携わりたい」と話す。目標は一級建築士の資格取得だ。

利用者目線生かした建物に


 「自分の家を自分で造りたい」というのが建築に興味を持ったきっかけでした。奈良女子大学の生活環境学部では主に住宅の設計を専攻し、さらに大阪市立大学大学院の生活科学研究科に進みました。そこでは古民家を商業施設として改修し、テナントの選定や集客イベントの企画を行いました。工事の工程・コスト管理は大学院の頃からやっていたので、今の業務の基盤となっています。

 就職は住宅メーカーを考えていましたが、住宅以外の建物を見たいと思い始め、商業施設なども扱う阪急阪神不動産を選びました。所属する技術統括部は開発推進部などで練られた計画を実際に建物にする部署です。意匠の調整や図面チェックなども行い、デスクワークと現場は半々くらいです。

 入社3年目で担当したホテル建設は、初めて一人で一から携わりました。それまでは施設のワンフロアを改修するといったことをやってきました。何もない状態から建物を造るには構造計算などの知識が必要になり、覚えることがたくさんありました。無心で取り組んでいると、利用者目線を忘れがちにもなりました。顧客の要望と利用者目線をうまく調整する大変さを痛感しました。

 これからは複数物件を管理する力を身に付けたいです。現在は一級建築士の資格取得を目指し勉強中です。キャリアアップにもなり、建築基準法などの法規は実務に生かせます。息抜きと勉強のメリハリを付けながら、合格に向けて頑張ります。(文=大阪・新庄悠、写真=同・冨家邦裕)

        
日刊工業新聞2019年6月17日

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