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航空機の組立ロボット、大手以外でも普及中

「穴あけ」など作業時間は半分以下に
航空機の組立ロボット、大手以外でも普及中

導入した組み立てロボット(弥富工場)

 【名古屋】エアロ(愛知県弥富市)は、航空機の組み立て工程にロボットを導入する。このほど数億円を投じて米国製のロボットを本社隣接の弥富工場に導入。実機の組み立てに使うため、顧客と調整している。国産小型旅客機「MRJ」の組み立てにも活用を検討する。ロボットの導入で、生産効率の向上と品質の安定化につなげる考えだ。

 導入したロボットは米ブラウン・エアロスペース製で、幅8メートル×奥行き8・6メートル×高さ8メートル。門型マシニングセンター(MC)のような外観で、機体への穴あけ、皿取り(穴周辺の加工)、びょう打ちの3工程を担う。穴あけと皿取りに必要な時間は合計約10秒。びょう打ちにかかる時間を含めても、手作業と比べ半分以下の時間で作業できるという。

 エアロは三菱重工業など国内の取引先を通じ、米ボーイングの大型機「747」や中型機「787」などの機体組み立てを担当。MRJでも胴体の一部などを担う。年内に同ロボットを実機組み立てに適用することを目標に、顧客からの認証手続きを進める。

 航空機の製造はこれまで、生産数の少なさなどから他産業と比べて自動化が進まなかった。しかし足元では航空機需要の拡大によって生産効率の大幅な向上が求められており、大手各社も自動化を進める。

 エアロは組み立て以外にも部品の管理や機体塗装、検査業務などで自動化の検討を進める考えだ。
日刊工業新聞 2015年08月06日 機械・ロボット・航空機面
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
生産の自動化やロボット化が遅れているとされる航空機産業にも、変化が訪れています。背景には、ボーイングとエアバスの受注合戦による「コストダウン」の余波が、日本のサプライヤーにも押し寄せていることがあります。

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