外国人観光客の急増、ビジネスにどうつなげるか?小企業はプラス効果への実感乏しく…

アサヒビールは工場見学でおもてなし

博多工場では見学客の半数が外国人。韓国語対応を強化中

 訪日外国人観光客の旺盛な購買意欲を小規模企業が収益拡大に結びつけられていない実情が、日本政策金融公庫の調査から明らかになった。日本公庫が従業員20人未満(非製造業は10人未満)の取引先1万社を対象に実施した調査によると、外国人観光客増加による売り上げへのプラス効果を実感していると回答した企業割合は全体の7・3%にとどまった。売り上げ拡大に向けた取り組みを「している」「今後する予定」の割合も7・8%にすぎず、資金やノウハウ不足が需要獲得へ向けた積極策を躊躇(ちゅうちょ)させているようだ。  訪日外国人観光客の増加による売り上げへのプラス効果が「大いにある」「多少ある」と回答した企業割合は全業種計では7・3%。業種別では運輸業が19・7%と最も高く、飲食店・宿泊業の15・8%が続いた。都道府県別では和歌山県(14・7%)、京都府(14・5%)、奈良県(14・3%)と関西地域が高い割合を占めた。  一方で、観光客の増加を売り上げに結びつける取り組みをしていない理由については「必要がない」が51・5%、「立地や事業内容などから効果が見込めない」が40・8%だった一方、「取り組みたいができない」が7・6%を占めた。その要因は製造業は「資金不足」、非製造業は「知識・ノウハウ不足」の割合が最も高かった。日本公庫は「小規模企業が一歩踏み出せるような後押しが必要」と指摘している。  訪日外国人観光客の急増に伴い、ビール工場の見学でも外国人が増加している。アサヒビールでは、全国8工場の見学者のうち外国人来場者数が、1―6月で前年同期比29%増と約3割増えて初めて7万人を超えた。8工場の中でも外国人客が多いのは、北海道工場(札幌市白石区)と博多工場(福岡市博多区)。両工場では外国人の割合が約5割に達し、工場案内ガイドやギフトショップでも、外国人対応を強化している。  外国人来場者が1番多い博多工場では、独自の取り組みでおもてなしを強化。外国人のうち韓国人が8割、中国人が1割を占め、案内係17人のうち、韓国語が話せる担当者9人をはじめ中国語、英語の担当者も置くなど、言語対応に努めている。   【英語研修も】  工場見学案内の専門会社であるアサヒビールコミュニケーションズは5月に初めて”おもてなし英語研修“を実施。各工場の英語教育担当者が案内ガイドの発音チェックや、モルト、仕込み釜など工場案内で使用する独特の用語の英語表現の練習を行った。8月下旬からは英語・韓国語・中国語の対応が可能な「外国語音声ガイドツール」を全工場に展開する。  外国人に人気が高い工場内ギフトショップの商品は、「アサヒスーパードライ」ビールの小容量サイズである135ミリリットル缶。「小さいため、帰国後の友人や家族へのおみやげに重宝されている」(同社)。  プレミアムビール「アサヒスーパードライ ドライプレミアム」も、日本でしか販売していない理由で人気が高いという。  【ガイドで紹介】  名古屋工場(名古屋市守山区)やアサヒビール創業の地である吹田工場(大阪府吹田市)でも、欧米などから訪れる個人客増加が目立つ。日本を紹介する観光サイトやグルメガイドも年々充実しており、その中でビール工場が”お勧めスポット“として紹介されることも多い。  ビール会社からすれば、工場のギフトショップや飲食の売り上げ増加につながるのはもちろん、主力ビールの味を覚えてもらうことで、海外展開での側面支援効果も期待できる。  外国人客の取り込みや案内強化は、他のビール会社でも広がりそうだ。

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