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営業増益予想は13分の8、トヨタ系サプライヤーの収益は回復基調

20年3月期見通し、研究開発投資も怠らず
 トヨタ自動車グループ7社の2020年3月期連結業績予想は5社が増収、4社が営業増益を見込む。全社が増収を達成したが6社が営業減益だった前期と比較し、利益の回復基調が鮮明となる。一方で、ほぼ全社が研究開発費を積み増した。競争力強化に向けた先行投資を捻出するための合理化施策が、計画達成の要となりそうだ。

 想定為替レートは1ドル=110―111円、1ユーロ=120―125円。7社合計の設備投資計画は前期比5・6%増の1兆1345億円、研究開発費は同3・8%増の9690億円に増える見通しだ。

 デンソーは安全関連や電動化製品の拡販で、増収増益予想。設備投資は同8%増の4500億円、研究開発費は電動化駆動モジュールなどを対象に、同4・5%増の5200億円を計画する。有馬浩二社長は「取り巻く環境の変化はますます加速している。投資を効率よく活用し成果を出したい」と力を込めた。

 豊田自動織機はエンジンの販売台数が同23万台増の82万台に伸びるほか、フォークリフトなど産業車両事業の拡大を見通す。研究開発費は同3・6%増の920億円の計画で、大西朗社長は「産業車両の電動化や新規開発品などを積極的に進める」とする。

 ジェイテクトは新規生産立ち上げの採算改善などで増収増益予想。豊田合成は新興国での拡販など、前期に続き売上高が過去最高を更新する見通しだ。

 一方、アイシン精機は中国の経済減速に伴い、自動変速機(AT)の販売が鈍化。同2・4%増の2070億円を計画する研究開発費なども重しとなり減収減益を見通す。中国では現地自動車メーカーとの合弁でATの増産計画を掲げているが、伊勢清貴社長は「2―3年時期をずらしても、方針は変えない」と説明した。

 トヨタ紡織は製品価格の変動、先行投資などの経費増が、愛知製鋼は電極など資材費の高騰が下押し要因となる。

 19年3月期は販売拡大などで全社が増収だったが、原材料費の高騰や先行投資の負担増などが響き、豊田合成以外の6社が営業減益だった。

中堅6社は?


 トヨタ自動車系中堅部品メーカー6社が25日発表した2020年3月期連結業績予想は4社が増益、2社が減益を見込む。3社が増収を予想。国内での拡販など足元の事業の堅調さがうかがえる。ただ販売価格の低下や人件費、先行投資などの費用増がリスク要因だ。

 東海理化はトヨタなど向けの拡販で、売上高が2期連続の過去最高を更新する予想。ただ営業利益は売価変動や労務費などの経費増が響く。フタバ産業はトヨタの新型「RAV4」向け生産の切り替え投資が一段落し収益の回収期に入る。

 愛三工業は北米での小型車販売減に加え、中国で主力品の価格競争が激化。原価低減で営業利益微増を目指す。ファインシンターはハイブリッド車(HV)向け部品が好調で、営業利益が過去最高を予想する。

 中央発條はシャシーバネ事業が堅調で増益予想。高江暁社長は「21年3月期以降は年間5%ずつ程度の売り上げ増が見込める」と自信をみせた。大豊工業は中国市場の減速による、19年1―3月期の軸受や自動車製造設備の受注減が響く。杉原功一社長は「足元の受注状況では、21年3月期以降は業績回復が見込める」とした。19年3月期は全社が営業減益だった。
               

                


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