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自動車とGAFAにみる、萎縮した「平成日本経済」

成長エンジン、変わらないまま
 きょうは平成最後の日。平成最大の経済事象は何か。2008年(平成20)の「リーマン・ショック」がまず思い浮かぶ。きっかけとなったサブプライムローン(信用力の低い個人を対象にした低金利住宅ローン)危機は07年に起きている。

 実は「10年に一度は経済危機が起きる」と言われる。1987年のブラック・マンデー、97年のアジア通貨危機、そしてリーマン。ほぼ10年単位で金融危機は発生している。

 リーマン後10年で、米国は大きく変わる。大蔵省(現財務省)出身のベンチャー経営者は「危機前まで、米国の金融業界はかなりの勢いで成長し、完成された経済のあり方だろうという雰囲気があった。(リーマンをきっかけに)自分で考え行動することが大切ということに気がついた」とみる。

 その結果、トップレベルの人材が金融界から他の業界にシフト。多くは、GAFA(グーグル・アップル・フェイスブック・アマゾン)などIT分野に流れ、金融に代わって米国の成長エンジンとなったというのだ。

 一方、日本経済は自動車頼りの状況で、経済をリードする新産業は生まれていない。ピンチをチャンスに変える、したたかな米と萎縮する日本。平成の経済の縮図と言えなくもない。
日刊工業新聞2019年4月30日

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