【日立建機】鉱山機械のパラダイムシフト、突破のカギは“日立力”

連載・企業研究/日立建機(5)

豪州の石炭鉱山で稼働するダンプトラック

 2003年夏、日立建機は鉱山機械分野で大きな決断を下した。国内でのダンプトラックの開発・生産だ。カナダのグループ会社が手がけるダンプを販売していたが、当時の経営陣が国産化にゴーサインを出した。親会社の日立製作所との緊密な連携により突破口を開いた。  「鉱山用の油圧ショベルと比べて、倍ぐらいの開発期間がかかった」―。顧客ソリューション本部本部長補佐の安田知彦は、こう振り返る。  ダンプを商用化する課題の一つがAC駆動システムの確保だった。もともと同システムをめぐっては、米ゼネラル・エレクトリック(GE)と独シーメンスが圧倒的に強く、日立が米独2強の牙城を突き崩す機会をうかがっていた。  日立建機も差別化したダンプの展開に向けて、新たな調達先を必要としていた。両社の思惑が一致した格好で、同システムを共同開発した。  また減速機に不具合が発生した際には、「解析技術に強みを持つ日立のグループ会社の協力を得て原因究明に取り組んだ」(安田)という。日立の技術力やノウハウを最大限活用して、課題を一つひとつ解決し、08年に日立建機として“国産第1号”のダンプを投入した。  13年に発売したダンプの新型機には、日立が持つ車体の制御技術を取り入れた。横滑りやスリップに対応し、操作のしやすさや安定性を確保。トロリー式(架空線集電式)のダンプにも日立の技術を活用している。日立との関係を生かして、登坂速度を高めるニーズを開発に反映した。  鉱山では今後、ダンプの自律走行システム(AHS)の導入が広がることが見込まれている。安全対策や生産性の向上に役立つためだ。コマツがAHSで先行しているものの、日立建機もこうした鉱山機械のパラダイムシフトへの手だてを打っている。  10年前にカナダのウェンコ・インターナショナル・マイニング・システムズの買収で鉱山運行管理技術を手に入れて以降、AHSの開発を進めてきた。もちろん日立の技術も活用しており、安田は「日立なくして、実用化はありえない」と強調する。  日立建機は18年夏に豪州の石炭生産・販売の最大手であるホワイトヘイブンとAHSの導入で合意。19年度に商用運転を目指しており鉱山で稼働しているダンプにAHSを段階的に取り入れる。日立と二人三脚で磨いてきた技術で鉱山にイノベーションを起こす。(敬称略)

続きを読む

関連する記事はこちら

特集