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金型下請け、発注者との取引適正化は可能か

経産省、管理に“目安”策定
金型下請け、発注者との取引適正化は可能か

“休眠型”の管理が中小企業の負担になっている(イメージ)

 経済産業省は、金型などをめぐる下請け企業と発注企業の取引適正化に向け、型の廃棄や返却、保管期間など型管理の目安を策定する。今夏までに産学官の有識者協議会を発足し、議論を進める。自動車や素形材など型を使う業界の多くは型の所有や保管期間があいまいで、下請け企業から発注企業への“休眠型”の返却・廃棄が進まず、下請け企業は管理費用が負担になっている。型管理の目安を示し、各業界による自発的な改善を促す。

 協議会では主に型の返却や廃棄の手順、量産終了となった型の保管期間の目安などについて議論する見通し。目安の策定時期は今後詰める。各業界・企業が目安を参考に、型管理の適正化に向けた取り組みを円滑に進められるようにする。

 型管理をめぐっては、下請け企業が発注側の要請に基づき、長期間にわたって型を保管することが多い。下請け企業が管理費用を全額負担するケースも大半を占め、経営の圧迫要因の一つになっている。

 このため経産省は2016年9月に下請取引適正化に関する政策「未来志向型の取引慣行に向けて(世耕プラン)」を策定。17年7月に型管理の適正化に向けたアクションプラン(行動計画)を公表した。不要な型の廃棄の促進や管理費負担、保管期間を19年度末までに取引間で協議・合意すべきだと示した。

 ただ、経産省の調査によると、型の返却・廃棄について「概ねできた」と回答した受注側企業の回答は18年度が約2割、発注側は約4割で共に前年度比で横ばいだった。先進的な取り組みを実施する企業がある一方、未実施の企業が多く、進捗(しんちょく)にはバラつきがある。

 経産省はこうした現状を踏まえて目安を策定し、下請け企業と発注側が取引適正化に向けた協議を進めやすい環境を整備する。
日刊工業新聞2019年4月17日

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