パナソニック、“自前主義”脱却の勝算

“モノづくり”で他社連携

パナソニックは角形車載電池の生産をトヨタが主導権を握る合弁会社に移す

 パナソニックは企業変革の新たなステージに入る。成長事業でも他社へ生産委託するほか、自社製品が売れなくなるリスクがあっても他社製品と連携する仕組みを大胆に取り入れる。年商8兆円規模を誇るパナソニックは、家電から車載部品まで多彩な分野を展開する。そんな同社も全分野にまんべんなく投資する経営余力はない。他社にモノづくりを委ねる形で自前主義からの脱却を加速する。  パナソニックと日東工業は27日、協業第1弾として、パナソニックがビルなど非住宅向け配電盤の一部を日東工業に生産委託したと正式発表した。業界シェア首位を競う企業同士だが、パナソニックは住宅用が強く、日東工業は非住宅用に強い。パナソニックの白沢満パワー機器ビジネスユニット長は「企業には得意、不得意な分野がある。業績が堅調なうちに、得意な分野に優先投資できるよう手を打つ」と狙いを話す。パナソニックは家庭用分電盤の生産を伸ばす計画だ。  またパナソニックはトヨタ自動車と、電気自動車(EV)の車載電池事業の共同出資会社を2020年内に設立する。出資比率はトヨタが51%でパナソニックは49%。トヨタ主導の新会社は、パナソニックが投資してきた既存工場を引き受ける。車載電池で世界シェア首位クラスに位置するパナソニックが、トヨタの軍門に降るとの見方もある。一方、パナソニックは相次ぐ増産投資で重くなった財務負担を緩和できる。  さらに他社製品との連携を加速する。ダイヘンと業界トップを競う溶接機では、他社の溶接ロボットと互換性を持たせる仕組みを19年中に構築する。生産ラインを組んだ場合、他社製も使えるため自社の溶接機はシェア下落につながりかねない取り組みだ。それでも、検査機や搬送ロボットなど周辺機器と連携させたシステムで売るビジネスに切り替え、総合的な付加価値を高める。  小売店舗向けの冷凍・冷蔵ショーケース事業でも、他社製を含む照明と空調を含めて管理と保守を一括し引き受ける仕組みを20年に構築する計画だ。自社で照明や空調も手がけているものの、顧客の利便性を優先した。  かつてパナソニックが年商10兆円を目指していたころは、売り上げを優先するあまり製品の単品売りビジネスとなり、価格競争にさらされやすかった。同社が車載電池を独占供給する米テスラ向け事業でさえも、「値下げばかり求められる単品売りビジネス」(同社首脳)ととらえる向きもある。  売上高よりも利益率が問われる今、ビジネスの規模より“質”が問われる。固定費軽減や付加価値向上に向け、他社に委ねるモノづくり戦略は今後も採用が増えそうだ。 (文=大阪・平岡乾)

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