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化学大手、こぞってインド深耕を狙うワケ

自動車部材事業を拡大
 化学大手はインドで自動車部材事業を拡大する。三菱ケミカルは2019年度内にエアバッグカバー材料の製造設備を新設するほか、三井化学は20年度にバンパーなどに使う内外装部材工場を増強する。世界最大の自動車市場である中国の新車販売が景気減速で落ち込む中で、同じ新興国のインド市場の重要性は相対的に高まる。これまで世界経済をけん引してきた中国の変調に備えつつ、国・地域でバランスがとれた地産地消の事業体制を築く。

 三菱ケミカルは、印ウェルセット・プラスト・エクストリュージョンズ(ムンバイ市)から13日に買収完了した工場の敷地内に、熱可塑性エラストマー製造設備を導入する。生産能力は年4000トンで、19年度中の完工を見込む。エアバッグカバーやシール材などの自動車部材が主な用途になる。

 インドでは新車販売の伸びに加え、安全規制強化によるエアバッグの普及も材料需要を押し上げている。従来は関係会社に委託生産してきたが、受注拡大に対応して買収拠点を活用した現地生産へ本格的に乗り出す。

 三井化学は20年度にバンパーやインストルメントパネル(インパネ)などに使うポリプロピレン樹脂混練(PPコンパウンド)のインド工場を増設する。約10億円を投じ、生産能力を現状比約3割増の年5万―6万トンに引き上げる。現地で車両軽量化ニーズが高まっており、金属代替の樹脂供給体制を整える。

 旭化成もインドでエンジニアリング樹脂コンパウンドの委託加工を始めた。自動車のエンジン周りでも使える耐熱性を生かして、シリンダーヘッドカバーやエンジンマウントなどの部材に適する。ナイロン66樹脂などの原料を手配し、現地の委託加工先で着色している。将来は需要増に応じて自社工場の建設を検討する。

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日刊工業新聞2019年3月29日

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