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ランドセルのセイバン、27年ぶり新工場建設の事情

特定の日に欲しい顧客ニーズに対応
ランドセルのセイバン、27年ぶり新工場建設の事情

兵庫県内の3工場と本社を移転集約し生産効率化を図る(セイバンのランドセル「天使のはね」)

 セイバン(兵庫県たつの市、泉貴章社長、0791・72・3000)は、兵庫県たつの市にランドセルを製造する新工場を建設し、兵庫県内の3工場と本社を移転集約する。投資額は10億円強。新工場は2020年中の稼働を目指す。拠点間の物の移動をなくし生産効率化を図ることで、受注から納品までのリードタイム短縮につなげる。

 新工場の敷地面積は約1万平方メートル。延べ床面積など建屋の詳細は検討中だ。ランドセル製造に必要なミシンや裁断機といった設備は既存工場のものを活用するが、複数台を刷新する予定。

 集約するのは、肩ベルトや前ポケットなどパーツ加工を行う姫路工場(姫路市)、組み立てを行う波賀工場(宍粟市)と室津工場(たつの市)、本社(同)の4拠点。各拠点で働く社員は新工場に移り稼働時は約250人で始動し、22年中に300人体制とする。移転後の4拠点の活用は現時点で未定だ。

 ランドセルは子どもの誕生日や長期休暇のタイミングで渡すニーズがあるという。拠点の集約で受注から納品までのリードタイムを大きく減らし、特定の日までにランドセルが欲しい顧客ニーズに対応する。

 セイバンは1919年創業のランドセル製造会社で国内シェアは約3割(自社推定)。年間20万―30万個のランドセルを製造する。新工場の建設は同社創業100周年の記念事業と位置付けた。同社として新工場は1992年以来27年ぶり。
日刊工業新聞2019年3月28日

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