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コンビニ「ポイント戦争」を生き抜くのは誰?

顧客取り込みへ差別化がカギ
 買い物やサービスの購入などに応じてもらえるポイント。今や日常生活で目にしない機会はなく、幅広い業種と提携する「共通ポイント」サービスは拡大の一途だ。小売業にとってポイントは集客の呼び水であり、他社との差別化を図るため、ポイント戦略を進める。

 共通ポイントがよく使われる場所としてコンビニエンスストアやスーパー、ドラッグストアがある。大手コンビニではローソンが「ポンタ」、ファミリーマートが「Tポイント」、セブン―イレブンが「ナナコ」といった具合だ。

 ポンタを運営するロイヤリティマーケティング(東京都渋谷区)は、会員数8998万人、提携企業先121社(2月末現在)を有する。2010年のサービス開始以来、それぞれ増加を続けている。意外なところでは、17年からUR都市機構と提携し、家賃の支払いでポイントがたまるようになった。

 ここ1、2年は提携先開拓の営業を強化したこともあり、日常生活用品などを販売し、ポイントの利用頻度の高い企業が参画している。アルビス(富山県射水市)など地方スーパーが自社ポイントからポンタへ切り替え、ライフコーポレーションが自社の「ラクカ」との併用を始めた。「業態で異なるが、近年はポンタ単独ではなく、自社や他社併用を望む企業が増えた」(ロイヤリティの高木朋行最高執行責任者)。

 その言葉通り、小売りの各店舗のレジ前では、ポンタやTポイントのほかに、楽天やドコモなど複数のポイントサービスの表示が増えた。顧客にポンタを選んでもらうには、「決済手段とどう連携させるかが課題」(同氏)だ。18年11月からは、ローソンで米アップルの決済サービス「アップルペイ」で支払った際、ポンタのポイントがたまり、ポイントを使えるようにした。

 LINE(ライン)ポイントとの相互交換も可能にし、決済サービス「LINEのウォレット」にポンタカードを登録し、利用できるようにするなど、利用者の利便性を図っている。

 一方、ナナコを運営するセブン・カードサービス(東京都千代田区)も、ナナコの加盟店拡大に力を入れる。18年12月末時点で6435万件の会員数を19年度には6700万件まで高める計画だ。

 ナナコのポイントは、電子マネーのナナコなどを利用した際に付与される。このほかセブン銀行のデビットカード利用でも付与される。セブン―イレブンのアプリとナナコをひも付けことで、アプリによるクーポン発行による来店を促し、ナナコ決済を循環させる。セブン&アイ・ホールディングスの総力で経済圏を作り上げる。

 各社が作り上げた経済圏では顧客の囲い込みだけでなく、購買データなどを元に、より的確なマーケティングや商品開発にもつながる。「21世紀の石油」ともいわれるデータを経済圏から得て、各社は競争力を向上させていく。
(文=丸山美和)
日刊工業新聞2019年3月21日

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