ニュースイッチ

IT人材に高齢化の波

JUASまとめ、「40代以上」過半数超え
 増員ながらも進むIT人材の高齢化―。日本情報システム・ユーザー協会(JUAS)がまとめた「企業IT動向調査」によると、IT部門の増員傾向を示す値は2018年度が過去10年間で最大だった。IT要員が「増加」と回答した割合から「減少」と回答した割合を差し引いた「DI値」による比較で、18年度は前年度比3.3ポイント増の12.7ポイントだった。年齢構成は40代以上がIT部門の中心となる企業が半数を超えるなど、高齢化の影響が一段と鮮明となった。

 IT部門の要員増加傾向は6年連続。ビジネスのデジタル化とともに、デジタル変革(DX)に焦点が当たり、IT投資が活発化する中で、企業のIT部門の増強が進んだのが背景。IT部門に対し、企業の情報子会社は18年度のDI値が前年度実績を下回ったものの、15・5ポイントと依然として高い水準だった。

 IT要員の年齢構成の内訳は、40代、50代以上が中心の企業が半数超だった。調査では、要員全体の50%以上を占めている年代がある企業は「当該の年代中心」、各年代とも同様の比率の場合は「均等」と分類し、IT部門と情報子会社のそれぞれの要員の「中心年代」を調べた。これによると、情報子会社は均等が63・8%に上り、「年代のバランスが取れている企業が多かった」のに対し、IT部門は均等が28・0%に留まった。多かったのは40代中心(32・9%)、50代以上中心(18・3%)。国内の高齢化の影響がIT部門の要員にもはっきりと現れた。

 シニア人材に関しては、現状と5年後を調査したところ、現状で役職定年が要員全体の5%以上と回答した企業の割合を合計すると18・6%。これが5年後には33・4%に増加する。20%以上と回答した企業の合計も5年後は1割を超えた。

 定年後の再雇用・雇用延長の割合はさらに多かった。全体の5%以上と回答した企業は現状で27・0%、5年後は43・5%。30%以上の合計も10・4%と1割以上に達した。

 調査は東証1部上場企業とそれに準ずる企業の4000社が対象で、IT人材に関する有効回答数は1036社だった。最終集計は4月上旬に公表する。
日刊工業新聞2019年3月20日

編集部のおすすめ