個人も大学も熱視線、科研費改革で何が変わった?

審査充実に好評価 研究力向上に期待

 個人の多様な学術研究を支える文部科学省の科学研究費助成事業(科研費)。2018年度は分野の区分や審査方式などの改革が完全実施となった。事業実施機関の日本学術振興会(JSPS)は、約4000件のパブリックコメント(意見公募)をさばき、手間暇かかる審査実施への移行を進めてきた。2年目となる19年度の採択で定着、日本の研究力向上という成果に期待が集まりそうだ。  科研費の審査システムを動かすのは、第一線の研究者120人ほどで構成するJSPSの学術システム研究センターだ。約10万件の新規応募に、約6000人の審査委員とやりとりする毎年のサイクルを回しつつ、数年かけて改革を進めた。  中心となったのは、応募分野を分ける「審査区分」と「審査方式」で、18年度の採択分から変更になった。あわせて取り組み規模などで異なる「研究種目」も見直された。  審査区分は学問の進展で細分化が進んでいたのを大くくり化した。改革案を提示した時には「応募で不利になるのではないか、と大騒ぎだった」とJSPSの家泰弘理事は振り返る。  研究者の迷いは「どの区分に応募すべきか」で大きかった。これに対しては「応募区分が違う、と門前払いすることはない」と説明。「研究の計画調書を、狭い専門を越えて理解されるように書く文化を定着させる」(家理事)べく、全国で説明会を重ねた。  一方、審査方式は「審査委員の間で情報共有した上で念入りな審査をする」(文科省研究振興局学術研究助成課)よう変更した。研究費の規模が大きい種目は書面の後の合議で、小さい種目は他の委員の意見を参考に2回の書面で審査する。評価が割れた案件で特に有効とされる。審査委員からは「他からの指摘を参考に、多様な視点での評価が可能になった」「広い分野の学術的意義や方法論を学ぶことにもなった」など、肯定的な意見が寄せられたという。  科研費の予算は19年度と18年度補正を合わせ、近年に比べ大幅増となる。大学組織に入る間接経費への期待も大きい。大学・研究力改革で引きつづき注目されそうだ。 (文=編集委員・山本佳世子)

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