ジムニーはなぜ顧客の心に響くのか。デザインに見る“スズキらしさ”の正体

スズキ四輪商品・原価企画本部四輪デザイン部長・神尾晃氏に聞く

約20年ぶりに全面改良したジムニー

 約20年ぶりに全面改良した軽4輪駆動車「ジムニー」など、小さくも個性的なデザインで顧客の心をつかみ続けるスズキ。電動化などの業界変化の中で「スズキらしさ」をどのように表現していくのか。神尾晃四輪商品・原価企画本部四輪デザイン部長にこだわりを聞いた。 ―四輪デザイン部の概要は。  「4輪車の内外装のデザインを一括して担当し、スケッチから製品の金型をつくるためのCADデータの作成までを手がける。将来に向けたデザイン蓄積もしており、2018年12月発売の(軽自動車)『スペーシアギア』はその中から誕生した。トレッキングシューズの底から発想したバンパープロテクターなどが特徴だ。拠点は本社と横浜研究所(横浜市都筑区)、イタリア・トリノ市、インドのマルチスズキのデザインスタジオにある」 ―インドでのデザインの評価は。  「インドでは若者からの支持獲得に課題がある。現地ではスズキ車が『お父さん世代のクルマ』と捉えられる傾向にあり、販売拡大のためにはこのイメージ打破が急務だ。インドは経済発展に伴い高級車ニーズも高まっている。魅力ある外装と質感の良い内装を兼ね備えたクルマを提供することで対応していく」 ―次世代車開発で求められることは。  「これからはデザイナーの発想力がより求められる時代になる。小さなクルマの寸法枠の中で発想を出し切る執念はもちろん、それを短期間で熟成させるスピード感を持つことなども必要だと思う」 ―デザインでの「スズキらしさ」とは。 「スズキは高級車やスポーツカーでなく、あくまでも日常生活を支えるクルマのメーカー。顧客の生活様式や潜在ニーズについてとことん考え、最適なデザインを編み出すのがスズキらしさだ。使う側の個性を際立たせる『凸するデザイン』と使い勝手が良く手が届きやすい『お客さまを思うデザイン』の2本柱でファンを増やしていきたい」 (文=浜松・竹中初音) 日刊工業新聞2019年3月12日  スズキは2019年1月をめどに湖西工場(静岡県湖西市)の生産ラインを増設し、軽4輪駆動車「ジムニー」と小型車「ジムニーシエラ」を合わせた月産能力を約1・5倍の7000台に引き上げる。ジムニーは7月に約20年ぶりに全面改良し、発売1カ月で年間販売目標を超える注文を受けた。現在も多数のバックオーダー(繰り越し注文)を抱えており増産で納期を短縮する。  スズキは販売好調なジムニーを増産することは表明していたが、具体的な台数規模は検討中としていた。  現在、湖西工場は月産能力約4000台のラインをフル稼働してジムニーを生産しているが、納期が約1年となっている。年内にはインド、パキスタンなどへの輸出を始める計画もあるため、増産体制を整えることにした。ジムニーの国内年販目標は、シエラを含めて1万6200台。7月の国内販売実績は約6000台だった。  ジムニーは約20年ぶりの全面改良ということもあり、国内では初期受注が極端に伸びたが、今後の平準化が予想される。鈴木修スズキ会長は「平準化する国内に代わり、インドやパキスタンでこれまで以上に販売する」と、海外でも積極的に拡販する方針を示している。

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