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市販切削工具を100倍鋭くできる技術の仕組み

SiCツールズが開発
市販切削工具を100倍鋭くできる技術の仕組み

3次元CMPを施して鋭利にした市販切削工具の刃先(拡大画像)

 SiCツールズ(名古屋市中区、青木渉社長、052・799・7601)は、市販の切削工具に3次元(3D)CMP(化学機械研磨)を施し、鋭利さを示す数値「刃先丸み」を最小50ナノメートル(ナノは10億分の1)と100倍に鋭くできる技術を開発した。切削時の抵抗を大幅に減らせるため、チタンやインコネルなど難削材の加工時間を短縮できる。航空機、自動車産業など顧客先での実用化に向けた共同研究を提案する。

 工具大手各社の超硬チップで実証し、刃先丸みを100分の1に抑える効果を確認した。今後はドリルやエンドミルでも実証する。SiCツールズは2007年に当時、ビーティーティー(名古屋市守山区)社長(現相談役)だった青木渉氏が刃先に炭化ケイ素(SiC)単結晶を採用した切削工具開発のため設立。実用化にめどを付けた。

 SiC単結晶の研磨には、共同開発者の江龍修名古屋工業大学教授のCMPに関する技術を用いた。派生事業として、市販工具の改良に着目し、ノウハウを応用した。CMPで一般的な液体砥粒(とりゅう)ではなく、固定砥粒を使用。3DCMPが砥石(といし)の役割を果たし、刃先の細かな凹凸をなくすことができた。

 航空機部品に使われるチタンやインコネルは歪みが起きないよう時間をかけて加工するという。3DCMPで改良したチップなら切削抵抗が小さいため加工時間を短縮できる。
日刊工業新聞2019年3月8日

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