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暮らし向きは良くなっているのか

7月消費マインド足踏み
 内閣府が10日発表した7月の消費動向調査によると、一般世帯の消費者マインドを示す消費者態度指数(季節調整値)は40・3と、前月比で1・4ポイント低下した。低下は2カ月ぶり。1・4ポイントの低下は、消費増税を2カ月後に控えた2014年2月(1・9ポイント低下)以来の大きな下げ幅。このため消費者マインドの基調判断を前月の「持ち直しのテンポが緩やかになっている」から「足踏みがみられる」に2カ月ぶりに下方修正した。

 消費者態度指数を構成する四つの意識指標すべてが前月を下回った。「暮らし向き」は前月比1・3ポイント低下の38・1、「収入の増え方」は同0・7ポイント低下の39・6と、いずれも3カ月ぶりに低下。「雇用環境」は同2・6ポイント低下の44・7、「耐久消費財の買い時判断」は同1・1ポイント低下の38・8と、こちらは2カ月ぶりに低下した。
 
 7月は小麦粉やパン、チョコレート、トイレットペーパーなど日用品の値上げがあり、これらが消費者マインドに「影響している可能性がある」(内閣府)とみている。加えて今回の統計の調査基準日は7月15日で、この頃にギリシャ債務問題や中国の株式暴落・経済減速などの報道が多かったことも、消費者心理を慎重にさせているようだ。

 円安を背景に企業業績は堅調に推移しているものの、個人消費の回復力が依然弱いことが裏づけられた。中国・新興国の成長鈍化により足元の輸出が停滞しているだけに、日本経済は内需主導の成長が期待されている。

 だが国内総生産(GDP)の約6割を占める個人消費が持ち直さない限り「経済の好循環」の実現は遠のく。円安の進展で輸入物価が一段と高騰するようなら消費者マインドがさらに冷やされかねない。
日刊工業新聞8月11日付総合4面
神崎明子
神崎明子 Kanzaki Akiko 東京支社 編集委員
数日前に乗ったタクシーの運転手さんは「景気はよくなった」と話していましたが、そうなのでしょうか。足元の消費拡大は訪日観光客に支えられている面が強いのでしょうが、日本のGDPの6割は個人消費が占めるだけに先行きが懸念されます。

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