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ベビー用品メーカーが“休憩室”の設計を指南

コンビ、安全な製品利用のため設計者向けに冊子を作成
ベビー用品メーカーが“休憩室”の設計を指南

写真はイメージ

 ベビー用品メーカーのコンビは、育児に関するCSR活動を積極展開する。中でも異彩を放つのがベビー休憩室の設計情報などを冊子にし、施工関係者に無償提供する事業。そこには育児環境の整備への会社の思いが込められる。活動を進める子会社コンビウィズ(東京都台東区、渡辺裕司社長、03・5828・7631)で、同事業の立ち上げから関わるBCS事業本部BCS開発部企画グループ主査の河村真弓氏に聞いた。

―コンセプトブックをつくった経緯は。

「ベビー休憩室の普及が始まったころ、製品の設置場所によっては、おむつ交換台に赤ちゃんを置いたままトイレに行く母親もいるなど、配置によるリスクを感じていた。設計側には理解がなく、営業担当者が個別の説明などで対応していたが、全ての顧客を網羅するのは難しい。そこで当社のもつ情報を冊子にする案が出た」

―ノウハウの提供という面では社内で反対もあったのでは。

「社内で蓄えてきたノウハウのため、反対意見も多かった。しかし、利用者に安全に製品を使ってほしいという思いも強い。最終的にはブランド名を出すという条件で、2013年に第1弾のコンセプトブックが完成した」

―どんな内容のものでしたか。

「育児をする母親にアンケートを実施し、その回答を元にコンセプト、設計ポイント、レイアウトプランなどを紹介。専門家の意見も交え、解説も行った」

―18年10月に2冊目のコンセプトブックを出しました。

「前回のアンケートから5年がたっていたので、質問を更新して実施。また図面を書くと、既存の製品だけでは対応できない部分も出る。パーソナルスペースを大事にした休憩室用什器(じゅうき)など、新製品の開発につながった。また母親だけでなく、障がい者や父親も使えるユニバーサルデザインを意識した」

―今後、どのような展開を。

「日本では育児環境も変化し、休憩室自体も増えてきた。一方、海外では休憩室がまだ普及していないと感じる。将来は日本だけでなく、海外にも育児環境の提案をしていきたい」
(文=大串菜月)
日刊工業新聞2019年3月1日

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