NECが環境経営と事業の連動性高める。キーワードは「適応!」

気候変動が招く災害への備えを定量評価。ICTで新たなビジネス見つける

緩和・適応ソリューションの目標イメージ

 NECは14日、河川や海の水から飲料水を作れる浄水セットを新しい切り口で評価した。自然災害で被災し、水道水が途絶えた地区に飲み水を供給できる浄水セット1台の価値は、5万トンの二酸化炭素(CO2)排出削減に相当するという。気候変動が招く災害への備えである「適応策」を初めて定量評価で表した。  気候変動問題で「緩和と適応」がキーワードとなっている。温暖化を防ぐ緩和は、省エネルギー化や再生可能エネルギーの利用が該当する。世界各地で緩和策が推進されているが、洪水や熱波など自然災害は強大化している。国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が2014年にまとめた第5次報告書は、災害からの被害を最小化する適応策の重要度が増したと指摘した。  こうした社会要請を受けてNECは14年度、緩和だけでなく適応でも事業で貢献する環境経営の目標を定めた。ちょうど13年4月発表の中期経営計画でも、情報通信技術(ICT)で社会インフラを高度化する「社会ソリューション事業」に軸足を移す経営戦略を打ち出していた。環境推進部の堀ノ内力部長は「適応は経営戦略に合う。NECの事業なら緩和にも適応にも資する」と説明する。  ICTによる業務効率化で顧客のCO2排出削減に貢献する緩和ソリューションはいくつもある。適応の視点からもニーズを捉えると、既存の製品・技術でも新たなビジネス機会を見つけ出せる。  例えばセンサーとクラウドを組み合わせ、地中にある水道管の水漏れを検知する検知サービスがある。漏水の早期発見は水資源の損失をなくすため、水不足への適応ソリューションとなる。健康管理支援システムは熱波による感染症の拡大を防ぐ。農業ICTソリューションは干ばつによる食糧不足への備えとなる。「適応策はCO2の削減以外でも世の中の価値を高められる」(堀ノ内部長)ため、環境経営と事業との連動性が強まる。  事業部門と検討を重ね、20年度の目標も作った。緩和、適応それぞれのソリューションが社会のCO2削減に貢献する量を、NECの事業活動に伴うサプライチェーン全体のCO2排出量の5倍にする。早稲田環境研究所(東京都新宿区)と適応ソリューションの評価手法の開発も始めた。浄水セットが算出第1号だ。大嶽充弘執行役員は「まずは考え方を提示した」と、議論が起こり、標準的な算出方法ができることも期待する。   (日刊工業新聞で毎週火曜日に「2030年環境経営」連載中)

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