東南アジアで儲けたい!自動車メーカーはどの国で?どんなクルマで?

「成長だけに取りつかれるのではなく、周囲を見極めることが重要だ」

今年は前年比5・5%増の110万7800台を見込むタイ市場(バンコクの繁華街)

 日系自動車メーカーにとっての、東南アジア市場の重要性が増している。米中の巨大市場で新車販売動向が曲がり角を迎える中、販売が堅調な東南アジア市場の存在感が高まる。米調査会社のフロスト&サリバンがまとめた市場リポートによると、タイやインドネシアなど主要3カ国の2019年新車販売台数はいずれも前年比増加となる見通し。経済成長に加え、インフラ開発や国内消費の増加により需要が拡大する。日系メーカーによる東南アジアへの攻勢が強まりそうだ。  最も大きな伸びを見せるのがタイで、リポートでは、前年比5・5%増の110万7800台を見込む。タイ政府は電気自動車(EV)とインフラを一体的に開発する「東部経済回廊(EEC)」などインフラ開発に注力する。  開発で利用される商用車などを中心に販売が伸びる見通しだ。インドネシアは同4・2%増の119万2700台に成長すると予測する。  同国政府が民間投資の拡大に向けて政府支出を行う意向を示しており、新車需要が拡大するもよう。緩やかなインフレ率と好調な経済が見込まれるマレーシアも同1・4%増の60万9700台と微増を予想する。  日系メーカー各社で、東南アジア市場に対する期待が高まり、足場固めが進んでいる。トヨタ自動車はインドネシア市場で小型多目的車(MPV)「アバンザ」の新モデルを19年に投入する。月間で1万台以上を販売する同国の人気車種で、大家族向けなど現地のニーズにMPVで応える。  マツダの18年4―12月期連結決算では、米国と中国の市場減速の影響が懸念される中で、「東南アジアの販売が足元の業績を下支えした」(藤本哲也常務執行役員)。タイで小型車「デミオ」、ベトナムは小型車「マツダ3」などが販売を伸ばす。販売網や店舗の強化を進めており、市場が整う前から質を重視したブランド戦略を進め、市場成長の好機を捕らえる。  三菱自動車は部品の現地調達率を高めて、同市場を深耕する。輸出・生産拠点を構えるインドネシアでは、一部車種のエンジンを、日本の生産から日産自動車の現地拠点での生産に切り替える。これにより、部品の現地調達率を6割から約7割に引き上げていく。  現地調達率を引き上げ「為替変動に伴うリスクを可能な限りコントロールしていく」(池谷光司三菱自副社長)狙いだ。同拠点で輸出も増やしていく意向で、タイのバーツをメーンの支払い通貨とする同社は「インドネシアからタイなどアセアン諸国への輸出を増やすことで新興国通貨への対応にも有効な手が打てるようになった」(同)と説明する。  一方、東南アジア市場は先進国に漂う先行きの不透明感が伝染する、など懸念がある。実際、マレーシアは「乗用車が新車販売の8割以上を占め、マクロ経済指標の変動に影響を受けやすい」とフロスト&サリバンの林更紗モビリティ部門インダストリーアナリストは指摘する。  東南アジアは輸出依存型の産業が多く、米中貿易摩擦などがマイナス影響を与えかねない。また、タイやインドネシアは19年の3―4月に重要な選挙が控え、経済政策が大きく変わる可能性がある。益子修三菱自会長兼最高経営責任者(CEO)は「成長だけに取りつかれるのではなく、周囲を見極めることが重要だ」と警鐘を鳴らす。 (文=渡辺光太)

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