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ドラッカー研究の第一人者とものつくり大学初代総長をしのぶ

ものつくり大が上田惇生名誉教授と梅原猛名誉総長の追悼コーナーを開設
 ものつくり大学とゆかりの深い2人の学者が相次いで亡くなった。上田惇生名誉教授(80)と梅原猛名誉総長(93)で、10日と12日にそれぞれ逝去した。両氏が残した多くの著作が同大図書館内の「ピーター・F・ドラッカー&上田惇生文庫」「梅原猛文庫」に並んでいる(写真)。同大は2001年開学以来の2人をしのび、業績をたたえるため、大学に関連する両氏の資料などを集めた追悼コーナーを開設した。

 ドラッカー研究・翻訳の第一人者であった上田名誉教授は長年、経団連事務局に勤め、広報部長などを歴任した後、同大教授に転身。ドラッカーのマネジメントを学生に教えた。大学の英文名はドラッカーが名付け親だ。

 梅原猛文庫は哲学、宗教、歴史など幅広いジャンルの約230冊を収めている。哲学者で文化勲章受章者の梅原名誉総長は「ものつくり大学」の校名を提案し、初代総長を務めた。校歌の作詞者でもある。校歌は「縄文の昔より 国の誇りはものつくり…」と、モノづくりと同大開学の意義を高らかにうたっている。

日刊工業新聞2019年1月30日


ドラッカーの“真摯さ”翻訳の背景


          

 「ものつくり大学はドラッカーの古里」と例えるのは、主要作品の翻訳家で、ものつくり大学名誉教授の上田惇生(あつお)さん(写真右から2人目)。このほどドラッカー関連図書など53点62冊を寄贈した。

 「当初、ドラッカーの作品に繰り返し出てくる『Integrity』という単語を『誠実さ』と訳していたが、ピンとこないと思っていた。構内のあぜ道を歩いていた時、『真摯(しんし)さ』という訳が頭に浮かんだ」と感慨深げ。

 “真摯さ”はドラッカーの経営思想を表現する言葉として広まった。寄贈本は「ピーター・F・ドラッカー&上田惇生文庫」で閲覧できる。「ドラッカーの古里で寄贈本を読み、彼の思想に触れてほしい」と呼びかける。

日刊工業新聞2013年11月6日

日刊工業新聞記者
日刊工業新聞記者
日刊工業新聞の過去記事を振り返ると「書窓」のコーナーで複数の経営者が梅原氏の名前を挙げていました。ご両名のご冥福をお祈りいたします。

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