ニュースイッチ

【内容更新】トヨタ・パナが新会社発表!EV用電池の近況おさらい

広く自動車メーカーに安定供給
【内容更新】トヨタ・パナが新会社発表!EV用電池の近況おさらい

トヨタの豊田章男社長(左)とパナソニックの津賀一宏社長(2017年12月撮影)

 トヨタ自動車とパナソニックは22日、2020年末までに電気自動車(EV)など向けの車載用角形電池事業の新会社を設立すると発表した。出資比率はトヨタ51%、パナソニック49%。角形電池のほか、全固体電池や次世代電池の研究開発を行う。新会社で生産した製品は、原則としてパナソニックを通じて広く自動車メーカーへ販売する。

 新会社へは、トヨタから電池セルの開発・生産技術領域の設備や人員を、パナソニックから車載用角形電池事業の開発・生産技術・製造・調達・受注に関係する設備や資産・負債、人員などを移管する。パナソニックの工場については、日本および中国・大連市の工場が対象となる。従業員数は両社合計で約3500人。

トヨタの中国向けEV、パナ製電池採用へ


 トヨタ自動車は2020年に中国で発売する電気自動車(EV)に、パナソニックのリチウムイオン電池を採用する方針を固めた。両社は17年12月から車載用角形電池事業で新たな協業の検討を進めている。すでにハイブリッド車(HV)用電池で提携関係にあるパナソニックからEV用電池の調達も開始し、EVの生産量が増加した段階で中国の電池メーカーなどからの調達も検討する見込み。EV生産の本格化に向けて体制整備を急ぐ。

 トヨタは20年3月をめどに中国で投入する小型スポーツ多目的車(SUV)「C―HR/イゾア」ベースのEVに、パナソニックの電池を搭載する計画。20年代前半に10車種以上のEVを中国やインド、日欧米で販売するトヨタにとって、トヨタブランドで生産・販売する第1弾の車種となる。

 中国では19年にEVやプラグインハイブリッド車(PHV)などの一定規模の販売を義務づける新エネルギー車(NEV)規制が導入される。トヨタはNEV規制に対応するため、C―HRをEV仕様に改良して売り出す。パナソニックとの提携深化について、トヨタ幹部は「信頼関係があるので協議を進めている。安心感がある」と語る。
(日刊工業新聞2018年12月12日掲載より抜粋、内容は当時のもの)

パナ、21年度に車載電池事業8000億円目指す


 パナソニックは車載電池の2021年度(22年3月期)の売上高目標を、18年度見通し比倍増の8000億円に設定した。同社はこれまで、車載電池のみの売上高を公表していなかった。

 大口顧客の電気自動車(EV)メーカー、米テスラの新型車生産の遅れが解消しつつあり、2倍以上の売上高を見込む。トヨタ自動車やホンダもプラグインハイブリッド車(PHV)などへ採用したことも後押しする。
(日刊工業新聞2018年8月8日掲載より抜粋、内容は当時のもの)

EV大国・中国市場を狙え、日系自動車メーカーの電池巡る動き


 

 国内自動車メーカーが中国市場を念頭に、電気自動車(EV)用リチウムイオン電池のコスト低減を急いでいる。トヨタ自動車とホンダは他社との協業で数量規模を確保し、日産自動車は外部調達でサプライヤーに競争原理を働かせる。

 ホンダは米ゼネラルモーターズ(GM)と車載用リチウムイオン電池分野で協業することを発表した。自動車業界関係者の多くは「サプライズではない」と冷静に受け止める。ホンダの年間販売数は500万台規模。「電池のコスト低減には数量が必要。すでに燃料電池車で提携するGMとの協業が自然な流れ」(外資系証券会社アナリスト)だった。

 独フォルクスワーゲン(VW)による一連のディーゼル車の排ガス不正などの影響で、2015年ごろからEV市場が勢いづく中、日系自動車メーカーはEV用リチウムイオン電池との向き合い方を探ってきた。

 EV用リチウムイオン電池のサプライチェーンは、調達安定性と低コスト化がトレードオフの関係にある。内製化すれば安定的に調達できるが、生産量アップに限界があり、低コスト化は難しい。

 自動車メーカー各社は内製化で調達安定性を優先するか、外部調達を増やして低コスト化するかで揺らいできた。ところが最近になり「各社ともに低コスト化の方向に寄ってきた」と風間智英野村総合研究所上席コンサルタントは指摘する。

 中国では19年に自動車メーカーに一定規模でEVの製造・販売を義務付ける規制が始まる。一方で、EVはいまだ政府による補助金や規制がないと普及が難しい。EVは自動車メーカーにとって「売らなければいけないが、生産量の確保が難しい商品」といえる。この状況を改善するため、各社はEVのコストの半分を占める電池の低コスト化に乗り出した。

 日産は車載電池事業子会社のオートモーティブエナジーサプライ(AESC)を中国企業に売却することを決め、外部調達にかじを切った。従来はAESCと共同開発してきたが、「複数の電池メーカーに仕様書を提示して価格を競わせる」(電機メーカー関係者)方針に転換した。

 ただ、提携する仏ルノーは韓国LG化学との関係が強い。三菱自動車を含む3社連合で統一的な調達戦略が進むのかも電池の低コスト化に大きく影響する。

 トヨタは17年12月にパナソニックとEV用車載電池での協業の検討を始めた。同社とはすでにHV用電池で提携するが、EV用は物量確保が難しいため、別の枠組みを用意。開発段階から連携し、電池の性能・品質にトヨタが関与する形を残すと同時に、生産面では他の日本メーカーを呼び込んで規模を拡大し、コスト低減を狙う。EV開発で連携するマツダ、スズキやSUBARU(スバル)が電池生産でも仲間に加わる可能性がある。

(文=後藤信之)
(日刊工業新聞2018年6月22日掲載より抜粋、内容・肩書きは当時のもの)
日刊工業新聞2019年1月21日掲載
梶原洵子
梶原洵子 Kajiwara Junko 編集局第二産業部 記者
円筒形以外の電池を生産する既存工場全てを新会社の傘下に移管すれば、パナ製電池を採用するホンダなどへの電池供給も新会社が担う可能性があります。トヨタとパナの電池連合は、グループ間をまたいだ協力関係へ発展していくのでしょうか。

編集部のおすすめ