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トレンドの先を読む、半導体実装材でオープンラボ

日立化成が川崎市に開所
トレンドの先を読む、半導体実装材でオープンラボ

総面積を約3倍に広げ、最先端の装置などを導入

 日立化成は21日、半導体実装材料に関するオープンイノベーションを手がける「パッケージソリューションセンタ」を川崎市幸区に開所する。半導体の装置や材料のメーカーと共同で、次世代材料などの開発につなげる狙いだ。同社によると、試作や評価の工程を一貫して手がけられるオープンラボは珍しい。投資額は数十億円。

 茨城県つくば市の研究所内にあったオープンラボを移転した。総面積は約3倍となる約4900平方メートル。うちクリーンルームは約3倍の約1200平方メートル超で「クラス1000」のほか、つくばにはなかった「クラス100」の環境も備えた。600ミリメートル角パネルサイズまで対応できる半導体実装装置など、約200の機器をそろえている。宮﨑忠一主管研究長は「特に後工程に着目していきたい。トレンドの、さらに先を読んだ開発をしていく」と話す。

 人工知能(AI)やIoT(モノのインターネット)などの進展で、半導体の微細化などのニーズは高まっている。日立化成は研磨材のCMPスラリーや封止材など半導体向け材料を手がける。同センタの野中敏央開発担当部長は「半導体分野では分業化が進んでいる。前工程、後工程どちらもカバーする当社にとってはビジネスチャンス」と見る。新センタで材料だけでなくプロセスも提案できる体制をより整える。

 同社は2018年に半導体実装材料や装置メーカーのコンソーシアム「JOINT」を発足した。従来の一対一での協業だけでなく、開発テーマに合わせて複数の企業と技術や情報を共有する狙いだ。

 センタには同コンソーシアムメンバー向けのブースを設けるなど、外部の人も訪れやすい雰囲気づくりに努めている。同センタの淺野智之センタ長は「オープンイノベーションで開発スピードを上げ、社会全体に貢献したい。自社だけではできない」と強調する。

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