働き方改革追い風に、都心オフィスビル活況

かつて聞かれた過剰供給の懸念は薄れている

東京都心のオフィスビルは需給が引き締まった状態で新年を迎えた

東京都心のオフィスビル市場は、活況を呈したまま2019年を迎えた。働き方改革の広がりを背景に、新築ビルへの移転やビル内での増床ニーズが急拡大。人手不足の将来不安から、人材確保につなげようとする動きも目立つ。米ウィーワークなどシェアオフィスの浸透も好材料だ。20年に向けては大規模供給が続くものの、かつて聞かれた過剰供給の懸念は薄れている。 都心のオフィスは大手町や丸の内、日本橋を中心に空室が少ない状況を保つ。ジョーンズラングラサール(JLL)によると、都心のオフィス空室率は直近18年11月末に0・9%と約11年ぶりに1%を割った。共益費を含む1坪(約3・3平方メートル)当たりの月額賃料も、前月より3・3%高い3万7863円と上昇基調。渋谷や大手町、丸の内などがけん引した格好だ。 三菱地所の吉田淳一社長は「戦略的にオフィスを見直す企業が増えている。従来のコスト意識ではなく、投資としての位置付けになったようだ」との感触を示す。実際、18年に完成した「東京ミッドタウン日比谷」や「丸の内二重橋ビルディング」などの大型オフィスは、いずれも満室に近い水準で始動した。入居企業に共通するのは「働きやすいオフィス環境の追求」だ。 人口減少に直面する中、企業は軒並み労働生産性の改善に重きを置く。対応策の一つに挙げられるのは、通勤時間の短縮や業務効率の向上。場所や時間にとらわれない働き方を実現するために、移転を機にフリーアドレスやカフェスペース、さらにオフィス外で仕事を進める体制まで一気に整備する例が多い。業務効率と利便性を高めた「スマートオフィス」を思い描く。 この流れを受け、シェアオフィスの存在感も高まっている。ウィーワークの成功で、好立地の大型ビルにシェアオフィスを置くビジネスが確立された。すでに三井不動産や東京建物、森ビルなどが新たな収益源と見て市場開拓を加速している。 JLLリサーチ事業部の大東雄人氏は「もはや競争力の弱いビルを活用する後ろ向きの発想ではない」と断言する。オフィスは今年、さらに変化する1年となりそうだ。 (文=堀田創平)

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